オーナーが雨漏りの修理工事をしてくれません。
その間,部屋の一部が使えないままです。
家賃を払わない,という対抗措置は取れますか。

1 建物の一部が使えない賃料支払拒否はできない
2 建物の一部が使えない賃料減額請求はできる

1 建物の一部が使えない賃料支払拒否はできない

<事例設定>

オーナーが雨漏りの修理工事をしてくれない
その間,部屋の一部が使えないままである
家賃を払わない,という対抗措置は取れないのか

雨漏りによって部屋の一部は使えないですが,使える部分もあるわけです。
一部でも使える以上,全額を支払わないということはできません(判例1)。
仮に賃料を一切払わないとすると,債務不履行としてオーナーから解除されてしまうリスクがあります。

2 建物の一部が使えない賃料減額請求はできる

借家に雨漏りなどがあると,完全には使えない状態となります。
そこで,借家人としては,賃料減額請求という方法を取れます。
賃料減額請求は,賃借物の一部が滅失した場合に適用されます(民法611条)。
天井からの雨漏り,については滅失ではありませんので直接適用されません。
しかし,機能の一部が損なわれている,という意味では一部の滅失と似ています。
そこで,民法611条が類推適用できると解釈されています(判例2)。

条文

[民法]
611条
1 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは,賃借人は,その滅失した部分の割合に応じて,賃料の減額を請求することができる。
2 前項の場合において,残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは,賃借人は,契約の解除をすることができる。

判例・参考情報

(判例1)
[最高裁判所第2小法廷昭和31年(オ)第393号借地権不存在確認事件昭和34年12月4日]
原審が適法に確定した事実によれば、本件で問題となつた昭和二二年七月から昭和二三年六月までの間本件土地に対する上告人の使用収益が全面的に不能であつたものとは認められないから、上告人が右期間における賃料の支払義務を当然に免れたものということはできない。

(判例2)
[名古屋地方裁判所昭和56年(ワ)第1382号,昭和59年(ワ)第2821号家屋明渡等請求,同反訴請求事件昭和62年1月30日]
右認定の事実によれば,本件建物二階部分の少なくとも三分の二が,昭和五六年九月一日以降同五八年七月末日まで原告の修繕義務の不履行により使用できない状態にあったことが認められるところ,修繕義務の不履行が賃借人の使用収益に及ぼす障害の程度が一部にとどまる場合には,賃借人は,当然には賃料支払い義務を免れないものの(最高裁判決昭和三四年一二月四日民集一三巻一二号一五八八頁参照),民法六一一条一項の規定を類推して,賃借人は賃料減額請求権を有すると解すべきである。