【目的物の使用収益不能による賃貸借契約終了(民法616条の2)(解釈整理ノート)】
1 目的物の使用収益不能による賃貸借契約終了(民法616条の2)(解釈整理ノート)
賃貸借契約で、目的物の全体の使用収益ができなくなった場合、契約自体が終了します。一方が解除する、などのアクションなしに当然に終了します。本記事ではこのことについて法改正(条文)や解釈を整理しました。
2 民法616条の2の条文
民法616条の2の条文
第六百十六条の二 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
※民法616条の2
3 民法616条の2の位置づけ→従来の判例の明文化
(1)従前の判例理論
従前の判例理論
あ 目的物の全滅または使用収益の全部不能
賃貸借の目的物が全部滅失するなどにより使用・収益が全部不能となったときには、賃貸借は当然に終了する
※大判昭和10年4月13日民集14巻556頁
※最判昭和32年12月3日民集11巻2018頁
※最判昭和42年6月22日民集21巻1468頁
い 特殊ケースによる例外(参考)
貸主の債務として目的物の修繕や改めて別の物を貸与するなどの義務が認められる場合がある
※最判昭和43年12月20日民集22巻3033頁
(2)民法616条の2の新設→判例の明文化
民法616条の2の新設→判例の明文化
従前の判例による解釈を明文化した
4 帰責事由の影響→なし
帰責事由の影響→なし
(賃借人の故意過失による滅失であっても民法616条の2は適用される)
5 関連テーマ
(1)目的物の使用収益不能における賃料減額・解除・当然終了
詳しくはこちら|賃貸建物の使用不能による賃料減額や解除(震災・火災・新型コロナなど)
6 参考情報
参考情報
本記事では、目的物の使用収益不能による賃貸借契約終了について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に賃貸借の対象の不動産に生じた損傷に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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