1 通常共同訴訟と必要的共同訴訟との判別
2 通常共同訴訟と必要的共同訴訟の関係(判別)
3 必要的共同訴訟の意味と判断基準
4 合一確定とせざるをえない場合
5 合一確定が要請される場合
6 合一確定が認められない場合

1 通常共同訴訟と必要的共同訴訟との判別

共同訴訟形態は,通常共同訴訟と必要的共同訴訟に分類できます。
詳しくはこちら|共同訴訟形態の基本(通常・固有必要的・類似必要的の分類など)
本記事では,通常共同訴訟と必要的共同訴訟を判別する方法を説明します。実際には,共同訴訟のうち必要的共同訴訟に該当しないものが通常共同訴訟なので,必要的共同訴訟の判断基準が特定できれば通常共同訴訟と判別できることになります。

2 通常共同訴訟と必要的共同訴訟の関係(判別)

前述のように,共同訴訟のうち必要的共同訴訟に該当しないものが通常共同訴訟に分類される,という関係があります。

<通常共同訴訟と必要的共同訴訟の関係(判別)>

共同訴訟のうち,必要的共同訴訟(合一確定が要求される)に該当しないものは通常共同訴訟となる

3 必要的共同訴訟の意味と判断基準

必要的共同訴訟とは,民事訴訟法40条1項に,合一確定が要求するものとして規定されています。実際に合一確定が要求されるといえるかどうかの判断をはっきりできるとは限りません。解釈に幅があるのです。

<必要的共同訴訟の意味と判断基準>

あ 必要的共同訴訟の意味

必要的共同訴訟は,共同訴訟人の権利義務関係につき合一確定が要求される場合に成立する
ここでいう合一確定は,論理上の合一確定では十分ではなく,法律上の合一確定の要求があることとされる
※笠井正俊ほか編『新・コンメンタール 民事訴訟法 第2版』日本評論社2013年p175

い 必要的共同訴訟の判断基準

どのような場合が(類似)必要的共同訴訟にあたるかについて
『合一確定とせざるをえない場合』(後記※1)に限定する説が有力である
『合一確定が要請される場合』(後記※2)も含めるという見解もある
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p789

4 合一確定とせざるをえない場合

共同訴訟において,合一確定とせざるを得ないものについては,確実に必要的共同訴訟に該当します。

<合一確定とせざるをえない場合(※1)>

あ 基準

共同訴訟人のうちの1人が仮に単独で訴訟をした場合でも,その判決の効力が他の共同訴訟人と相手方との間に拡張される場合
→各共同訴訟人と相手方との間の勝敗をバラバラに決めると,共同訴訟人の1人について自分の受けた判決の効力と,他の共同訴訟人に対する判決から拡張されてくる効力とが矛盾衝突して収拾がつかない結果となる

い 共同訴訟形態

(類似)必要的共同訴訟に分類される
見解による違いはない

う 具体例

数人の提起する会社設立無効の訴え(会社法828条2項1号,834条1号,837条,838条)
株主総会決議の取消または無効の訴え(会社法830条,831条,834条16,17号,837条,838条)
数人の異議者との間の破産債権査定異議訴訟(破産法126条4,6項,131条)
数人の債権者の債権者代位権に基づく訴訟(民法423条)
数人の差押債権者の取立訴訟(民事執行法157条1項)
数人の株主による責任追及の訴え(会社法847条,849条)(権利義務の帰属者(被担当者)への既判力の拡張を通じて判決の効力が相互に及ぶ)
複数の住民の提訴した住民訴訟
※最高裁昭和58年4月1日,最高裁平成9年4月2日
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p789

5 合一確定が要請される場合

共同訴訟において,合一確定とする必要性は高いけれど,合一確定としないことも許されないほどではない,という程度のものがあります。このような合一確定が要請されるという程度のものについては,必要的共同訴訟とする見解としない(=通常共同訴訟とする)見解に分かれます。

<合一確定が要請される場合(※2)>

あ 基準

判決の効力の抵触のおそれがあるわけではないが,紛争解決の実効性の観点から合一確定が要請される場合
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p789

い 共同訴訟形態

見解により,通常共同訴訟,(類似)必要的共同訴訟のいずれかに分類する

う 判例

ア 結論
共同所有者全員を被告とした訴訟において,民事訴訟法40条(旧62条)を適用した(=類似必要的共同訴訟に分類した)
※最高裁昭和34年3月26日
※最高裁昭和38年3月12日
イ 分析
すでに共同被告となった以上は一律解決が望ましいとの政策判断が1つの支えになっていると思われる
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p789,790

6 合一確定が認められない場合

複数の者に対する請求が関連する場合には,広く,合一確定が望ましいといえます。しかしその程度にすぎず,合一確定としないことも許されるようなものは,必要的共同訴訟にあたりません。つまり通常共同訴訟にあたります。

<合一確定が認められない場合>

あ 基本

『ア・イ』のいずれの場合も,合一確定の要求があるとはいえない
ア 共通争点
共同訴訟人のまたはこれに対する請求が重要な争点において共通する場合
例=同一事故の数人の被害者の賠償請求,主債務と保証債務の請求
イ 目的手段の関係
数人の被告に対する請求が目的手段の関係にあるために,全員に対して勝訴の判決を得ないと終局の目的が遂げられないという場合

い 共同訴訟形態

通常共同訴訟に分類される

う 具体例

甲が,順次経由した乙丙の所有権取得登記の抹消請求をする場合
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p790

本記事では,通常共同訴訟と必要的共同訴訟の判別(必要的共同訴訟の判断基準)について説明しました。
実際には,個別的な事情によって法的扱いが違ってくることもあります。
実際に対立する当事者の一方が複数人である状況に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。