1 固有必要的共同訴訟における当事者の欠落(訴え漏らし)の治癒
2 固有必要的共同訴訟における当事者の欠落の治癒の方法
3 訴えの主観的追加的併合
4 訴訟告知による当事者欠落の瑕疵の治癒
5 訴訟係属中の当事者の変更(参考)

1 固有必要的共同訴訟における当事者の欠落(訴え漏らし)の治癒

共同訴訟にすることが法律上強制され,合一確定しなければならない訴訟形態のことを固有必要的共同訴訟といいます。つまり固有必要的共同訴訟では本来当事者となるべき者が全員訴訟の当事者(原告か被告)に含まれている必要があります。
詳しくはこちら|共同訴訟形態の基本(通常・固有必要的・類似必要的の分類など)
この点,一部の者が訴訟の当事者から欠落していた場合には,この瑕疵を治癒する(適法にする)いくつかの方法があります。本記事では,固有必要的共同訴訟における当事者の欠落を治癒する方法について説明します。

2 固有必要的共同訴訟における当事者の欠落の治癒の方法

当事者の欠落を治癒する方法は,共同訴訟参加と,別訴を提起した上で弁論の併合をする,というものがあります。別訴提起の代わりに訴えの主観的追加的併合で済ますという方法も指摘されています。

<固有必要的共同訴訟における当事者の欠落の治癒の方法>

固有必要的共同訴訟の共同訴訟人として本来当事者となるべき者が誤って除外されて提起された訴えについて
次の方法により瑕疵が治癒される(適法となる)
ア 共同訴訟参加
※民事訴訟法52条
イ 別訴を提起+弁論の併合
ウ 訴えの主観的追加的併合
判例は主観的追加的併合を認めない傾向にある(後記※1)
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p788

3 訴えの主観的追加的併合

訴えの主観的追加的併合は,別訴提起と弁論の併合に代わる方法で,これにより手続を大幅に簡略化できます。しかし,これを認める民事訴訟法の規定があるわけではなく,解釈として提唱されているにすぎません。判例としてはこれを否定しています。

<訴えの主観的追加的併合(※1)>

あ 主観的追加的併合の意味

原告X,被告Yの訴訟の係属中において
XのZに対する請求を併合することを申し立てること
これ(主観的追加的併合)を認める明文規定はない

い メリット

(原則的な手法である別訴提起と比較して)Xにとって手続が煩雑にならない
(別訴の訴状と違って)印紙の貼用が不要である
従来の訴訟資料をXZ間の訴訟で用いることができる
審理の重複の防止や裁判の矛盾を避けることができる→紛争の統一的かつ一回的解決を実現できる
(訴訟遅延のおそれがある場合には)弁論の分離で対応すれば足りる

う デメリット

主観的追加的併合を認めると濫訴や訴訟遅延の危険がある
係属中の訴訟手続の結果が当事者の援用・同意なくして新当事者との間の審判に当然に利用できるとは限らない

え 判例(否定説)

判例は主観的追加的併合を一般的に否定する
当事者としては別訴を提起して裁判所の弁論の併合によるべきとする
※最高裁昭和62年7月17日

4 訴訟告知による当事者欠落の瑕疵の治癒

以上の当事者欠落の治癒の方法とは別に,訴訟告知によって治癒するという発想もあります。しかし,訴訟告知は訴訟提起ではないので,判例は訴訟告知により当事者欠落は治癒されないと判断しています。

<訴訟告知による当事者欠落の瑕疵の治癒>

あ 事案

原告側について固有必要的共同訴訟を構成するケースについて
原告が所在不明の者に公示送達により訴訟告知をした

い 裁判所の判断

訴訟告知を受けた者は,告知によって当然に当事者または補助参加人となるものではない
※民事訴訟法53条,46条参照
→直ちに瑕疵が治癒されることにはならない
※最高裁昭和46年12月9日

う 批判

事案の落しどころとしては疑問が残る
※新堂幸司著『新民事訴訟法 第6版』弘文堂2019年p788

5 訴訟係属中の当事者の変更(参考)

以上の説明は,訴訟提起の時点から本来当事者となるべき者が欠落していたという場合の治癒の方法です。この点,訴訟提起の後(係属中)に当事者が変わったという場合には,その治癒(対応)の方法は少し違います。具体的には訴訟継承の手続で済みます。なお,民事訴訟法に訴訟継承の規定がない時代には別訴提起をした上で弁論の併合をする,ということをしていました。
これについては別の記事(共有物分割訴訟に関する記事)で説明しています。
詳しくはこちら|共有物分割訴訟の当事者(共同訴訟形態・持分移転の際の手続)

本記事では,固有必要的共同訴訟における当事者の欠落を治癒する方法について説明しました。
実際には個別的な事情によって法的扱いや最適な対応は違ってきます。
実際に,原告または被告が複数となる訴訟に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。