1 不動産売買の売主・仲介業者の説明義務違反として不法行為責任を認めた判例
2 売主の説明義務違反の法的構成
3 仲介業者の説明義務違反

1 不動産売買の売主・仲介業者の説明義務違反として不法行為責任を認めた判例

売買契約において,売主や仲介業者の説明が不足していたことが原因となって,後から問題が発覚するケースはよくあります。
そのようなケースで生じる損害賠償責任には,2つの種類があります。
詳しくはこちら|債務不履行責任・不法行為責任の関係(請求権競合)と内容の違い
売買契約における説明義務違反によって生じる損害賠償責任は,通常,債務不履行責任(契約責任)です。
詳しくはこちら|不動産売買における調査・説明義務の基本(一般的基準)
しかし,不法行為責任が認められることもあります。
本記事では,不動産の売買において,売主や仲介業者の説明義務違反として不法行為責任が認められた判例を紹介します。

2 売主の説明義務違反の法的構成

最初に,売主の説明義務が履行されていないものとして,売主不法行為による損害賠償責任が認められた判例を紹介します。

<売主の説明義務違反の法的構成(※1)>

あ 説明義務違反

分譲住宅の売買契約について
売主の説明義務違反を認めた

い 法的構成

不法行為による損害賠償(慰謝料)請求を認めた
※最高裁平成16年11月18日
※『ジュリスト臨時増刊1291号 平成16年度重要判例解説』有斐閣2005年6月p70,71参照

3 仲介業者の説明義務違反

次に,仲介業者の説明義務が履行されていないために,仲介業者に,不法行為による損害賠償責任が認められた判例を紹介します。

<仲介業者の説明義務違反>

あ 売主の責任(前提)

不動産の売主が売買契約上の付随義務として説明義務を負う(前記※1)

い 仲介業者による説明の不備(前提)

防火戸の電源スイッチの位置,操作方法などの説明について
仲介業者による説明にも不備があった

う 仲介業者の説明義務

買主仲介業者には契約関係がない
しかし,(売主側の)仲介業者は信義則上,売主と同様の義務を負う

え 法的構成

(仲介業者の説明義務(う)について)義務違反があった場合
『説明義務違反により不法行為としての損害賠償責任が発生する』
→不法行為による損害賠償義務を負う
※最高裁平成17年9月16日
※尾島茂樹稿『契約締結に際しての説明義務』/『別冊ジュリスト196号 民法判例百選Ⅱ 債権 第6版』有斐閣2009年4月p10,11参照

本記事では,不動産売買における説明義務違反として不法行為責任が認められた判例を紹介しました。
実際には,個別的な事情や,主張・立証のやり方次第で結論が違ってくることもあります。
実際に不動産売買に関する説明義務違反の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。