1 総会の議決権の割合(区分所有法の規定と規約による設定)
2 議決権の個数と割合
3 集会の議決権に関する条文
4 共用部分の持分の割合(14条)
5 議決権の割合の実情(管理規約での設定例)
6 標準管理規約の議決権割合に関するコメント(引用)

1 総会の議決権の割合(区分所有法の規定と規約による設定)

分譲マンション(区分所有建物)の総会(集会)では,いろいろな事項を決めます。
本記事では,総会での議決権の割合について説明します。

2 議決権の個数と割合

総会で決議をする際は,議決権の個数(頭数)と議決権の割合の両方で判定(決議)します。議決権の割合の方は,原則的な割合が区分所有法で定められていますが,管理規約で別の内容を定めることもできます。
本記事では議決権の割合について説明します。

<議決権の個数と割合>

あ 議決権の個数(頭数・参考)

区分所有者1人が1議決権を有する
規約で変更できない
※区分所有法39条1項など

い 議決権の割合

原則として各区分所有者が共用部分の持分の割合によって議決権を有する
規約で変更できる
例=議決権の割合は,各区分所有者の所有する住戸1戸につき各1個とする
※区分所有法38条
※稻本洋之助ほか著『コンメンタール マンション区分所有法 第3版』日本評論社2015年p227

3 集会の議決権に関する条文

最初に,議決権の割合を定める区分所有法の条文を押さえておきます。

<集会の議決権に関する条文>

あ 区分所有法38条(議決権)

第三十八条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。
※区分所有法38条

い 区分所有法14条(共用部分の持分の割合)

第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
※区分所有法14条

4 共用部分の持分の割合(14条)

議決権の割合は,原則的に共用部分の持分の割合とすることになっています(区分所有法38条)。
共用部分の持分の割合の内容は,区分所有法14条で定められています。原則として専有部分の床面積の割合ということになっています。

<共用部分の持分の割合(14条)>

あ 原則

共有部分の持分の割合は
専有部分の床面積の割合とする
※区分所有法14条1項

い 規約による設定

規約で『あ』とは別の内容(割合)を定めることができる
※区分所有法14条4項

5 議決権の割合の実情(管理規約での設定例)

議決権の割合は,以上のように,原則的な内容が区分所有法で定められていて,管理規約で定めることもできるということになっています。
現実には,管理規約で簡略化した議決権割合が設定されていることが多いです。

<議決権の割合の実情(管理規約での設定例)>

あ 原則方式の不都合な点

議決権割合を共用部分の共有持分の割合(専有部分の床面積割合)とした場合
→計算(決議・投票の集計)が煩雑になる

い 典型的な設定

実際には,規約で1住戸1議決権としている管理組合も多い

う 1住戸1議決権の問題点

費用負担は共用部分の共有持分に応じて定められている
※区分所有法25条2項
→各住戸の面積の乖離が大きい場合には,1住戸1議決権は不公平だという問題が残る

え 簡略化した床面積比例方式の例

床面積にほぼ比例した整数倍にするなどの簡略化は差し支えない
例=2LDKは議決権1,4LDKは議決権2
※稻本洋之助ほか編著『コンメンタール マンション標準管理規約』日本評論社2010年p146

6 標準管理規約の議決権割合に関するコメント(引用)

国交省が公表している標準管理規約の中のコメントでも,議決権割合に関して,以上で説明した内容と同様のことが記載されています。参考になるので紹介しておきます。

<標準管理規約の議決権割合に関するコメント(引用)>

第46条関係
1 議決権については、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎と
しつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
2 各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である。また、住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
3 1や2の方法による議決権割合の設定は、各住戸が比較的均質である場合には妥当であるものの、高層階と低層階での眺望等の違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合もあることのほか、民法第252条本文が共有物の管理に関する事項につき各共有者の持分の価格の過半数で決すると規定していることに照らして、新たに建てられるマンションの議決権割合について、より適合的な選択肢を示す必要があると考えられる。これにより、特に、大規模な改修や建替え等を行う旨を決定する場合、建替え前のマンションの専有部分の価値等を考慮して建替え後の再建マンションの専有部分を配分する場合等における合意形成の円滑化が期待できるといった考え方もある。
このため、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。
この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。
また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする。
なお、このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
※マンション標準管理規約(単棟型)コメント(平成29年8月29日国土動指第27号,国住マ第33号)

本記事では,総会での議決権割合について説明しました。
総会の開催や決議についての法的な判断は,個別的な事情によって大きく違ってきます。対立が生じると,解決するためには専門的知識が必要です。
実際に総会に関するトラブルに直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。