1 増改築許可の承諾料(裁判例集約;総論)
2 床面積72%増加→承諾料4.5%
3 床面積2.83倍→承諾料5%
4 床面積3倍→承諾料5%
5 木造2階から鉄骨3階→承諾料7%
6 居宅から賃貸用共同住宅→承諾料4%
7 床面積減少→承諾料2.5%

1 増改築許可の承諾料(裁判例集約;総論)

建物の全面的な増改築許可の裁判では,原則的に承諾料(財産上の給付)として,更地の3%相当額が決められます。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築許可の承諾料の相場(財産上の給付の金額)
しかし,特殊事情があると,例外的に3%より高い,または低い承諾料が算定されます。
本記事では,3%以外の算定が実際になされた多くの裁判例を紹介します。

2 床面積72%増加→承諾料4.5%

まずは,更地の3%相当額を超える承諾料が決められた裁判例を順次紹介します。

<床面積72%増加→承諾料4.5%>

あ 事案

木造建物の全面改築
床面積が72%増加する
用途が自己使用から収益物件(共同住宅)へ変更となる

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の4.5%相当額とする
※東京地裁平成5年7月23日

3 床面積2.83倍→承諾料5%

<床面積2.83倍→承諾料5%>

あ 事案

平家建から2階建に変えた
床面積が2.83倍になる

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の5%相当額とする
※東京地裁平成7年7月27日

4 床面積3倍→承諾料5%

<床面積3倍→承諾料5%>

あ 事案

床面積が約3倍となる

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の5%相当額とする
※東京地裁平成8年4月4日

5 木造2階から鉄骨3階→承諾料7%

<木造2階から鉄骨3階→承諾料7%>

あ 事案

木造2階建×2棟
→鉄骨造3階建・塔屋付き居宅

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の7%相当額とする
※東京地裁平成7年11月22日

6 居宅から賃貸用共同住宅→承諾料4%

借地上の建物の用途が変わることが理由で原則的な承諾料に上乗せがなされた事例です。

<居宅から賃貸用共同住宅→承諾料4%>

あ 事案

木造居宅から木造共同住宅・居宅に増改築する
床面積の約70%が賃貸用の共同住宅となる

い 裁判所の判断

不動産収益が期待できる
→財産上の給付は更地の4%相当額とする
※東京地裁平成9年3月24日

7 床面積減少→承諾料2.5%

以上の事例は原則的な承諾料(更地の3%)に上乗せされたものでした。
逆に,特殊事情により,3%の割合よりも下がる判断もあります。

<床面積減少→承諾料2.5%>

あ 事案

増改築の前後共に共同住宅である
=利用目的に変更はない
床面積は減少する

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の2.5%相当額とする
過去の更新料の支払は考慮しない
※東京地裁平成9年8月12日