1 建物の一部の改築許可の承諾料(裁判例集約;総論)
2 瓦葺き替え→承諾料0.75%
3 床・コンクリート基礎の補強→承諾料1%
4 屋根・外壁の改修→承諾料1%
5 土台の一部の交換→承諾料3%×交換割合
6 2階建の1階部分のみの改修→承諾料0.9%

1 建物の一部の改築許可の承諾料(裁判例集約;総論)

建物の全面的な増改築許可の裁判では,原則的に承諾料(財産上の給付)として,更地の3%相当額が決められます。
改築の対象が建物の一部である場合は,これよりも低い承諾料が算定されます。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築許可の承諾料の相場(財産上の給付の金額)
本記事では,建物の一部の改築についての承諾料の算定をした裁判例を紹介します。

2 瓦葺き替え→承諾料0.75%

主に瓦の葺き替えだけのメンテナンスというケースです。

<瓦葺き替え→承諾料0.75%>

あ 増改築の内容

容積率における最有効利用には至らない
瓦の葺き替えは行う
それ以外の主要構造部分は原状と変わらない
将来さらに改築が予想される

い 裁判所の判断

財産上の給付は更地の0.75%相当額とする
※東京地裁平成5年5月31日

3 床・コンクリート基礎の補強→承諾料1%

床とコンクリート基礎の補修や補強だけという内容の工事です。

<床・コンクリート基礎の補強→承諾料1%>

あ 増改築の内容

1階の床部分を解体し補修する
コンクリート基礎の全体を補強する

い 裁判所の判断

建物全体の改築ではない
一方,基礎の補強により耐用年数が延長する
→財産上の給付は更地の1%相当額とする
※東京地裁平成6年6月3日

4 屋根・外壁の改修→承諾料1%

屋根と外壁だけの改修というケースです。

<屋根・外壁の改修→承諾料1%>

あ 改修の内容

2重屋根とする
外壁4面について吹き付け塗装をする
基礎・柱には手を加えない

い 裁判所の判断

建物の耐用年数を延長させる
快適度を増加させる
しかしこれらの程度は大きくない
→財産上の給付は更地の1%相当額とする
※東京地裁平成7年2月2日

5 土台の一部の交換→承諾料3%×交換割合

土台のうち一部の交換と,それ以外の小規模なメンテナンスという工事内容です。
土台の交換の面積割合を使って,標準的な算定の割合3%をディスカウントしました。

<土台の一部の交換→承諾料3%×交換割合>

あ 改修の内容

建物の一部の土台の交換
外壁の貼替え
柱の交換・補強
ドア窓サッシの交換

い 裁判所の判断

小規模な増改築である
3%に改修部分の土台の長さの割合を乗じた(A)
→財産上の給付は更地にAの割合を乗じた金額とする
※東京地裁平成7年3月30日

6 2階建の1階部分のみの改修→承諾料0.9%

2階建の建物の1階部分のみが対象の改修というケースです。

<2階建の1階部分のみの改修→承諾料0.9%>

あ 改修の内容

木造2階建の建物について
1階土間部分に6畳和室・浴室を作る
1階茶の間・玄関部分の床・壁・天井を張り替える
流し台を交換する

い 裁判所の判断

1階部分のみの大修繕である
床面積の増加を伴わない
建物の朽廃時期に大きな影響を与えない
→財産上の給付は更地の0.9%相当額とする
※東京地裁平成7年12月4日