1 借地条件変更の承諾料(裁判例集約;総論)
2 木造2階から鉄骨4階→承諾料15%
3 木造2階からRC7階→承諾料15%
4 過去に地代過払い→承諾料7%
5 直近の既払い更新料→10%から一部控除
6 木造建物を建築予定→承諾料実質3%
7 既に鉄骨造建物がある→承諾料7%
8 軽量鉄骨建物を建築予定→承諾料6%

1 借地条件変更の承諾料(裁判例集約;総論)

借地条件変更の裁判では,原則的に承諾料(財産上の給付)として,更地の10%相当額が決められます。
詳しくはこちら|借地条件変更の承諾料の相場(財産上の給付の金額)
しかし,特殊事情があると,例外的に10%より高い,または低い承諾料が算定されます。
本記事では,10%以外の算定が実際になされた多くの裁判例を紹介します。

2 木造2階から鉄骨4階→承諾料15%

まずは,原則的な承諾料(更地の10%)よりも高額が算定された裁判例を順次紹介します。

<木造2階から鉄骨4階→承諾料15%>

あ 事案

ア 現行建物
木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建,事務所
イ 建築予定建物
鉄骨造陸屋根4階建,葬祭場

い 裁判所の判断

床面積が2倍になる
収益性が上がると予想される
→財産上の給付は更地の15%相当額とする
※東京地裁平成8年10月11日

3 木造2階からRC7階→承諾料15%

<木造2階からRC7階→承諾料15%>

あ 事案

ア 現行建物
木造2階居宅+木造平家店舗+物置
イ 建築予定建物
RC地下1階+地上7階 住宅+商業施設

い 裁判所の判断

床面積は約7.2倍となる
借地人に大幅な収益の増加が見込まれる
建物の耐用年数が大きく伸長する
→財産上の給付は更地の15%相当額とする
※東京地裁平成6年10月12日

4 過去に地代過払い→承諾料7%

特殊事情により,原則的な承諾料(更地の10%)よりも低額が算定された裁判例を順次紹介します。

<過去に地代過払い→承諾料7%>

あ 借地条件変更の内容

堅固建物所有目的への条件変更

い 事案

従前,借地面積のミスにより地代が過剰であった

う 裁判所の判断

財産上の給付は更地の7%相当額とする
※東京地裁平成3年8月9日

5 直近の既払い更新料→10%から一部控除

<直近の既払い更新料→10%から一部控除>

あ 借地条件変更の内容

堅固建物所有目的への条件変更

い 裁判所の判断

直近の更新時に支払われた更新料について
未償却部分を控除した
→財産上の給付は更地の9.13%相当額となった
※東京地裁平成5年7月27日

6 木造建物を建築予定→承諾料実質3%

<木造建物を建築予定→承諾料実質3%>

あ 事案

建築予定建物は木造である
=現行建物と変わらない
延床面積・用途にも変化はない
用途=賃貸用共同住宅

い 裁判所の判断

借地全体のうち対象の建物の敷地部分を基準として
財産上の給付は更地の3%相当額とする
借地全体を基準とすると1.6%である
※東京地裁平成7年6月6日

7 既に鉄骨造建物がある→承諾料7%

<既に鉄骨造建物がある→承諾料7%>

あ 借地条件変更の内容

堅固建物所有目的への条件変更

い 事案

現行建物=鉄骨造3階建事務所・居宅
外見上は堅固建物とみることができる

う 裁判所の判断

既にある建物は堅固建物に近い
増床は,現存建物の床面積の15%程度にとどまる
→財産上の給付は更地の7%相当額とする
※東京地裁平成7年9月25日

8 軽量鉄骨建物を建築予定→承諾料6%

<軽量鉄骨建物を建築予定→承諾料6%>

あ 借地条件変更の内容

堅固建物所有目的への変更

い 事案

予定建物は軽量鉄骨造建物である
床面積は1.5倍となる

う 裁判所の判断

総合的に勘案する
→財産上の給付は更地の6%相当額とする
※東京地裁平成9年11月28日