1 不動産取得税|一般的・基本的理論
2 不動産取得税×共有物分割|過去の判例
3 不動産取得税×共有物分割|現在の規定
4 譲渡所得税課税×不動産取得税課税|関係性

1 不動産取得税|一般的・基本的理論

不動産取得税はちょっとマイナーな存在です。
メジャーな所得税との区別を誤解する方もいらっしゃいます。
まずは不動産取得税の一般的な基本的事項をまとめます。

<不動産取得税|一般的・基本的理論>

あ 課税対象|条文規定

不動産取得税の課税対象
=『不動産の取得』
※地方税法73条の2第1項

い 課税対象|解釈論

『不動産の取得』について
→所有移転の形式により不動産を取得するすべての場合をいう
取得により経済的な利益の増加をきたす場合に限られない
※最高裁昭和48年11月16日
※最高裁昭和45年10月23日

う 本質論

不動産取得税について
不動産の流通移転の事実に対して課税する
名目的課税的性質を持つ租税である
現実的な利得とは関係ない
比較;所得税・収益税は現実的利得と関連している
※最高裁判所判例解説昭和48年p263〜273

2 不動産取得税×共有物分割|過去の判例

共有物分割における不動産取得税の解釈論があります。
まずは過去の判例の経緯をまとめます。

<不動産取得税×共有物分割|過去の判例>

あ 共有持分の取得・一般論

不動産の共有持分の取得について
→不動産所有権の取得の1つの形態である
→『不動産の取得』に該当する
※最高裁昭和42年8月25日

い 共有物分割

共有物分割により他の共有者の有していた持分を取得すること
→『不動産の取得』に該当する
→不動産取得税が課税される
※最高裁昭和53年4月11日

この扱いは,その後変更されています。

3 不動産取得税×共有物分割|現在の規定

共有物分割における不動産取得税の説明を続けます。
過去の判例は,現在ではそのまま適用されません。
法改正により,新しいルールができているのです。

<不動産取得税×共有物分割|現在の規定(※1)>

あ 法律の規定

共有不動産を持分に応じて分割する場合
→新たに不動産を取得するものではない
→不動産取得税の課税対象にはならない
※地方税法73条の7第2号の3

い 法改正・経緯

以前は行政通達で同様の規定があった
平成13年の法改正で『あ』の条文規定が新設された
施行日=平成13年4月1日
※平成13年3月30日法律第8号

4 譲渡所得税課税×不動産取得税課税|関係性

『所得』税と不動産『取得』税はまったく別のものです。
共有物分割の時には譲渡所得税の例外的扱いがあります。
そのため不動産取得税と混同する誤解が生じやすいです。
2つの課税の関係について整理しておきます。

<譲渡所得税課税×不動産取得税課税|関係性>

あ 譲渡所得税

共有物分割に関する譲渡所得税課税について
→2つの例外規定により非課税となることがある
ア 共有物分割の基本通達
イ 交換の特例

い 不動産取得税

共有物分割に関する不動産取得税課税について
→現在では法律上の例外規定がある(前記※1)

う 譲渡所得税・不動産取得税の関係性

『あ』・『い』は別に扱われる
→例外規定はそれぞれ独立して判断・適用される
→一方だけ課税される,ということも生じる