【ペット死亡・負傷|損害賠償|財産的損害×慰謝料|理論・基準】
1 ペットの死亡・負傷×損害賠償|基本
2 ペットの死傷×賠償責任|法的根拠
3 ペットの死傷×債務不履行責任|典型例
4 ペットの死傷×賠償責任・損害
5 ペットの死傷×慰謝料|特殊事情|判断基準
6 ペットの死傷×慰謝料|相場
7 ペットの死傷×慰謝料|判例
1 ペットの死亡・負傷×損害賠償|基本
ペットに関するご相談・ご依頼をされる前に、次のことをご理解ください。よく考えてご了解いただいてから、お問い合わせくださいますようお願いします。
ペット相談・依頼の前提事項(押すと開く)
・多くの資料や調査が必要となること
・法律相談の相談料は30分1万1000円、最低限2万2000円となること
・代理人交渉のご依頼の着手金は最低限33万円であり、ご依頼の時点でお支払いいただく必要があること
ペットが死亡・負傷する事故があります。
この場合に法的責任が発生することもあります。
損害賠償の基本的事項をまとめます。
<ペットの死亡・負傷×損害賠償|基本>
ペットの死傷について法的責任が認められる
→一定の賠償責任が生じる
法的根拠・責任には数種類がある(後記※1)
法的根拠の内容は次に説明します。
2 ペットの死傷×賠償責任|法的根拠
ペットの死亡・負傷に関する法的責任の種類を整理します。
<ペットの死傷×賠償責任|法的根拠(※1)>
あ 動物占有者責任
飼育されていた動物が他の動物を攻撃した
加害動物の飼主に責任が生じる
※民法718条
詳しくはこちら|動物の占有者の責任|基本・『動物』解釈論
い 一般不法行為責任
一般的な違法性のある行為によりペットが死傷した
※民法709条
う 債務不履行責任
一定の『義務を引き受けた者』がミスを生じた
そのためにペットが死傷した(後記※2)
※民法415条
3 ペットの死傷×債務不履行責任|典型例
ペットの死傷について債務不履行責任が認められることがあります(前記)。
このようなケースの典型例をまとめます。
<ペットの死傷×債務不履行責任|典型例(※2)>
あ 治療ミス
獣医がペットの治療を行った
治療にミスがあり,ペットが死傷した
→診療義務違反・説明義務違反
い ペットホテル
ペットホテルがペットを預かった
保管中のミスによりペットが死傷した
→保管義務違反
4 ペットの死傷×賠償責任・損害
ペットの死傷についての賠償責任が認められることがあります(前述)。
この場合に賠償責任の対象となる『損害』の内容・範囲をまとめます。
<ペットの死傷×賠償責任・損害>
あ 損害賠償責任|原則
財産的損害について賠償責任が認められる
被害動物の状況 | 損害項目|典型例 |
傷害(負傷) | 治療費 |
死亡 | 客観的価値=市場価値 |
い 損害賠償責任|例外=慰謝料
特殊事情がある場合に慰謝料が認められる(後記※3)
う 慰謝料が認められる特殊事情
財産価値以外に考慮に価する主観的精神的価値が認められる
※最高裁昭和42年4月27日
詳しくはこちら|財産的損害による慰謝料の発生の基本(理論と特別事情の分類)
『慰謝料』は必ず認められるわけではありません。
一定の特殊事情があって初めて認められるのです。
特殊事情の判断基準は次に説明します。
5 ペットの死傷×慰謝料|特殊事情|判断基準
ペットの死傷についての『慰謝料』発生の判断基準をまとめます。
<ペットの死傷×慰謝料|特殊事情|判断基準(※3)>
あ 愛情の程度
ア 基準・目安
例;溺愛と言えるほどの強さ
→慰謝料が認められやすい
イ 判断要素|例
・ふれあう頻度・密度
・飼育期間
い 死亡に至る経緯
例;その場を目の当たりにした
→慰謝料が認められやすい
う 加害者・被害者の過失の程度
次のような事情があると慰謝料が認められやすい
ア 加害側に大きな過失があるイ 被害者側には落ち度がない
6 ペットの死傷×慰謝料|相場
ペットの死傷に関する慰謝料が認められるケースもあります(前述)。
認められる場合の金額の相場を整理します。
<ペットの死傷×慰謝料|相場>
あ 死亡
10〜30万円程度
い 後遺障害
原則=ゼロ
死亡に近い重度の場合
→死亡(上記『あ』)と同程度
う 傷害
原則=ゼロ
7 ペットの死傷×慰謝料|判例
ペットの死傷事故の実際の事例は多くあります。
判例として損害の判断・算定がなされています。
事故の態様ごとに,別記事で紹介・説明をしています。
詳しくはこちら|ペットの死傷|判例|交通事故|死亡・後遺症|慰謝料・特殊事情
詳しくはこちら|ペットの死傷|判例|動物が攻撃|死亡・傷害|慰謝料・特殊事情
詳しくはこちら|ペットの死傷|判例|獣医・ペットホテル|医療・保管ミス→死亡
本記事では,ペットが死亡または負傷したケースにおける損害賠償(慰謝料)の理論や金額の基準について説明しました。
実際には,個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってきます。
実際にペットの死亡や負傷に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご理解くださるようお勧めします。