1 公道・公有地×時効取得|基本
2 公道・公有地×時効取得|典型例
3 公有地×私人による占有|典型例
4 畦道から駐車場への変化による公用廃止(肯定裁判例)

1 公道・公有地×時効取得|基本

公道などの公有地を一般の方が『長期間占有』する事例があります。
『時効取得』の扱いは,一般の民有地とは異なります。

<公道・公有地×時効取得|基本>

あ 国有地|原則

国有地について
→私人による時効取得はできない
理由;行政財産には私権が及ばない

い 国有地|例外

次の両方を満たす場合は時効取得の対象になる
ア 公共用財産としての形態・機能を喪失していた
イ 他人の占有により,現実的に公共目的が害されていなかった
理由;黙示的な『公用廃止』→行政財産から除外する
※国有財産法3条,18条1項
※最高裁昭和51年12月24日

う 地方自治体の所有地

地方自治体の所有地について
→法律上の規定は国有地と同様である
→国有地と同様の扱いになると思われる
※地方自治法238条1項,238条の4第1項

2 公道・公有地×時効取得|典型例

公有地の時効取得が認められる典型例をまとめます。

<公道・公有地×時効取得|典型例>

公道の一部について人・自動車が実際に通ることはない
ここに私人が塀などを建てて庭として使っている
平穏に10年(20年)が経過している
※寳金敏明『里道・水路・海浜−長狭物の所有と管理−4訂版』ぎょうせいp73〜

3 公有地×私人による占有|典型例

私人が公有地を占有するケースはある程度パターンがあります。
なお,時効取得が認められるかどうかは別問題です(前述)。
ここでは『私人による占有』が生じやすいシーンを整理します。

<公有地×私人による占有|典型例>

あ 概要

私人が公有地を取り込んで占有する

い 占有の態様|例

ア 田畑
イ 家屋の敷地

う 公有地|例

ア 里道
イ 公共用水路
ウ 公道のうち舗装されていない部分
エ 斜面
法面・崖地

4 畦道から駐車場への変化による公用廃止(肯定裁判例)

実際に公用廃止が認められた具体的事案はとても参考になります。
裁判例の事案と判断を紹介します。

<畦道から駐車場への変化による公用廃止(肯定裁判例)>

あ 20年間の占有継続

Aが甲土地を所有していた
乙土地は甲土地に隣接して,国が所有していた
乙土地は,田畑の耕作のための公共用通路や旧道と一体とした通路(畦道)として利用されていた
Aは,甲土地・乙土地を一体として,自己の所有地であると思って,駐車場として利用していた
Aが乙土地を占有してから20年が経過した

い 現実的な公用(機能)の判断

乙土地は畦畔としての形態・機能を喪失していた
周辺の土地の利用状況から考えても原状回復は困難だった

う 公用廃止の判断

黙示の公用廃止があった
→取得時効の成立を認める
※東京地裁平成21年9月15日

本記事では,公道や公有地の時効取得について説明しました。
実際には個別的な事情によって公用廃止の判断が大きく違ってきます。
実際に公道や公有地の時効取得の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。