【複製権の内容と複製権侵害の判断基準】
1 複製権の内容(基本)
著作権の内容として、いろいろな権利があります。
詳しくはこちら|著作権の内容(種類全体)
本記事では、著作権の内容のうち『複製権』について説明します。
まずは複製権の基本的な内容をまとめます。
複製権の内容(基本)
あ 複製権の内容
著作物を有形的に再製する権利
『有形的再製』と呼ぶ
※著作権法21条
い 『有形的』の意味
著作物が媒体に固定されること
う 『再製』の意味
元の表現物と同一のものを作ること
え 『一部』の再製
著作物の『一部』の再製について
対象部分だけで『著作物』に該当する場合
→『複製』となる
2 複製の典型例
前記の『複製』の定義は抽象的で分かりにくいものです。
そこで、典型的な具体例を紹介します。
複製の典型例
あ 典型例
ア 手書き(写し書き)イ 印刷ウ 写真撮影スマホ・デジカメの撮影も含まれる
エ コピー機による複写オ 録音・録画カ ハードディクス・サーバーへのデータ保存・蓄積※著作権法2条1項15号
3 複製の特殊な例
著作物が単純に目に見えるモノであれば、その複製というのは分かりやすいです。
しかし、ストレートに目に見えるモノでない『著作物』を『複製』することになるケースもあります。
複製の特殊な例
あ 演劇の脚本
『脚本に基づく演劇の上演・放送(=無形的再製)』を録音・録画する行為
い 建築の著作物
外観・設計図から同様の建築物を建てること
※著作権法2条1項15号ア、イ
4 複製権侵害の判断基準
実際には『複製』に該当する、つまり『複製権侵害』になるかどうかが曖昧なことがあります。
当事者の見解が食い違って対立するというトラブルがとても多いです。
要するにどのレベルで『違法なマネ』になるのか、ということが問題になります。
つまり、複製権侵害の判断基準です。
複製権侵害の判断基準
あ 複製権侵害の判断要素
『類似性』(い)と『依拠性』(う)の両方が認められる場合
→複製(権侵害)となる
い 類似性
本質的な特徴をそれ自体として直接感得させる(態様)
※最高裁昭和55年3月28日;パロディ・モンタージュ事件
う 依拠性
既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるもの(を再製すること)
※最高裁昭和53年9月7日;ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件
5 複製権侵害の判断要素の具体例
複製権侵害は類似性と依拠性で判断します(前記)。
この2つの要素に関する判断のうち、具体的なものをごく一部だけ紹介します。
複製権侵害の判断要素の具体例
あ 大きさの違いと類似性
『大きさが異なる』場合
例;ミニチュア
→『類似性』は認められる
い 偶然の類似と依拠性
『たまたま似た』という場合
→『依拠性』が欠けるので『複製権侵害』は否定される
6 複製権の制限(例外・概要)
形式的に著作物の『複製』に該当すればすべて違法となるとは限りません。
著作権が制限される、つまり複製が適法となる例外のルールもいろいろとあります。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|著作権の制限(例外)の種類全体
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


