【時点修正・地点修正の算定の方法と典型例】

1 時点修正・地点修正(基本)
2 時点修正・地点修正を用いる典型例
3 時点・地点修正の修正率の算定方法
4 時点・地点修正の具体例(事案)
5 時点・地点修正の具体例(算定)

1 時点修正・地点修正(基本)

賃料や土地評価額などの算定では多くの場面で修正する必要が生じます。
その1つが『時間に伴う変動』や『場所による違い』の修正です。
時点修正,地点修正と呼んでいます。
本記事では時点修正・地点修正について説明します。
まずは基本的事項をまとめます。

<時点修正・地点修正(基本)>

あ 前提事情

不動産甲の評価が分かっている
これを元にして不動産乙の評価を算定したい

い 根本的な構造

不動産甲の評価と不動産乙の評価の違いについて
評価時点と地点が異なる

う 修正率による評価の方法

時点と地点の違いによる評価の違いの率(修正率)を算定する
修正率を用いて不動産乙の評価額を算出する

2 時点修正・地点修正を用いる典型例

時点修正・地点修正を用いる場面の典型的なものをまとめます。

<時点修正・地点修正を用いる典型例>

あ 公示地価による土地の評価

土地甲の公示時価を元にして
これに近い土地乙の評価額を算出する

い 取引事例による評価

土地甲の売買価格を元にして
これに近い土地乙の評価額を算出する

う 賃貸事例による賃料評価

土地甲の賃料を元にして
これに近い土地乙の相当賃料を算出する
詳しくはこちら|賃貸事例比較法の基本(個別事情による修正や不採用)

3 時点・地点修正の修正率の算定方法

時点修正や地点修正の修正率は基準と算定する状況の2つについて,同一指標の指数を使います。

<時点・地点修正の修正率の算定方法>

あ 基本的な方法

2つの時点・地点の評価を示す指数を用いる
→2つの指数の比率を修正率とする

い 用いる指数の具体例

ア 路線価イ 固定資産評価額

4 時点・地点修正の具体例(事案)

時点修正・地点修正について,具体例を使って説明します。
まずは事案の内容をまとめます。

<時点・地点修正の具体例(事案)>

あ 不動産甲の評価

評価額=1平方メートル単価200万円(※1)
評価した時点=平成29年1月
評価した地点=A

い 不動産乙の評価の前提

評価額→これから算出するもの
評価する時点=平成30年1月
評価した時点=B

5 時点・地点修正の具体例(算定)

前記事案について,時点・地点修正の修正率を算出します。
そして修正率を使って目的の不動産の評価額を得ます。

<時点・地点修正の具体例(算定)>

あ 時点・地点修正率の算定

平成29年1月のA地点の路線価=500
平成30年1月のB地点の路線価=525
修正率=525/500=105%(※2)

い 不動産乙の評価額の算定

不動産甲の評価額×修正率
=200万円(前記※1)×105%(前記※2
=1平方メートル単価210万円

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【名誉毀損罪(構成要件と公共の利害に関する特例)】
【賃料増減額請求における『相当期間の経過』(裁判例と相場)】

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