【無断での写真転載に関する通知書(正式な文面サンプル)】

1 写真の盗用への個人的アクション(概要)
2 正式な通知文のサンプル(メイン部分)
3 自社表示タイプへの請求内容(※A)
4 ユーザー投稿タイプへの請求内容(※B)
5 正式な通知文の補足説明(〜※5)
6 正式な通知文の補足説明(※6〜)

1 写真の盗用への個人的アクション(概要)

無断で写真を盗用されたケースにおいて個人的に行いやすいアクションは通知・連絡です。
初期段階の非常に簡略化した書面のサンプルを別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|無断写真転載への問い合わせメッセージ(簡略なサンプル)や前後の手続
本記事では,法律的な内容を多く盛り込んだ正式な通知文としての文面を紹介します。内容証明郵便で送付するような文面で使うことを想定しています。

2 正式な通知文のサンプル(メイン部分)

文面のサンプルをメインの部分と請求内容の部分の2つに分けて順に示します。
まずはメイン部分のサンプル文面です。

<正式な通知文のサンプル(メイン部分)>

通知書【※1】
貴社ウェブサイト(【タイトルorURL】,以下『本件転載サイト』【※2】という)に掲載されている写真について通知致します。
本件転載サイト内に平成年月日現在,次の写真(以下『通知人著作写真』という)が掲載されています。
 <通知人著作写真>【※3】
 石垣の風景 【URLorタイトル】
 ・・・
通知人著作写真はいずれも私(通知人)が撮影したものであり,私が著作権及び著作者人格権を有するものです。なお,通知人著作写真について,私が適法に公表しているものは,次のウェブサイトで確認できます。
<適法に公表しているウェブサイト>
【タイトル】 【URL】【※4】
通知人著作写真について,私は貴社【※5】やその他の者に使用を許諾したことはありません。また,著作権法上の適法な使用(著作権の制限,著作権法30条〜)に該当するものでもありません。
従って,通知人著作写真を本件転載サイトに表示することは,私が有する公衆送信権や氏名表示権などの著作権及び著作者人格権【※6】を違法に侵害するものです。著作権侵害として刑事罰の対象となるものです。
つきましては,私は貴社に対して,次の事項を請求致します。
【ここにはタイプ別の文章が入る【※A】or【※B】】
以上の請求についての履行の具体的方法などについて,私は貴社と協議したいと考えております。【※10】
つきましては,本書面到着後7日以内【※11】に,貴社ご担当者から,末尾の連絡先までご連絡くださいますようお願いします。
貴社が誠実に対応しない場合は,私はやむなく著作権法違反による告訴や,著作権等侵害による損害賠償請求・名誉回復措置請求の訴訟を提起する所存であることを付言いたします。
 <ご連絡先>
 総務担当 丁野四郎【組織化している場合】
平成Y年M月D日
東京都**区・・・
甲野太郎 (印)【被害者=この通知の発信者】
東京都**区・・・
乙野次郎 殿【この通知の宛先(個人の場合)】
東京都**区・・・
****株式会社
代表取締役 丙野三郎 殿【この通知の宛先(法人の場合)】

3 自社表示タイプへの請求内容(※A)

写真が掲載されているウェブサイトの運営者が自社のコンテンツとして表示しているタイプの場合の請求内容です。

<自社表示タイプへの請求内容(※A)>

 <請求内容>【※9】
 1 本件転載サイト内の通知人著作写真の表示を即時に中止(削除)すること
 2 通知人著作写真の違法な表示による損害賠償として金**万円を支払うこと(金額を明示しない方法もあり得ます)
 3 本件転載サイト内に,通知人著作写真を表示したことが私の著作権・著作者人格権を侵害したことを明らかにし,かつ,私に謝罪する内容の表示を行うこと【※7】
【※8】

4 ユーザー投稿タイプへの請求内容(※B)

写真の掲載は,ウェブサイトの運営者ではなく,ユーザーの1人が投稿したというケースもあります。掲示板やSNSが典型例です。この場合は,サイト運営者は直接的に著作権を侵害した者ではありません。請求内容は,このような状況に合わせたものになります。

<ユーザー投稿タイプへの請求内容(※B)>

 <請求内容>【※9】
 1 本件転載サイト内の通知人著作写真の表示を即時に中止(削除)すること
 2 通知人著作写真を掲載(投稿・アップロード)をした発信者の次の情報を開示すること
 ア 氏名(会社名),住所(所在地)
 イ 発信者の電子メールアドレス
 ウ 侵害情報に係るIPアドレス及びポート番号
 エ 侵害情報に係る携帯電話端末等の契約者固有ID
 オ 携帯電話端末等のSIMカード識別番号
 カ 侵害情報が送信されたタイムスタンプ
私は掲載した者に対して損害賠償や削除の請求を行います。そのために必要な情報として前記情報の開示を請求する次第です。

5 正式な通知文の補足説明(〜※5)

正式な通知文のサンプル中の補足説明です。前半と後半部分に分けてまとめます。

<正式な通知文の補足説明(〜※5)>

あ 基本的な使い方

権利侵害や請求内容など,正式な法律的な内容です。
内容証明郵便で出す本格的な書面を想定しています。

い タイトル(前記※1

『警告書・損害賠償請求書』などのタイトルでも良いです。
決まりはないので『著作権侵害に関する通知書』とかでも良いです。

う 転載サイトのネーミング(定義)(前記※2

決まりはありません。責任追及のスタンス・イメージを示すことになります。いろいろなチョイスとして次のようなものがあります。
ア 『本件違法転載サイト』イ 『著作権侵害サイト』ウ 『本件サイト』『本件ウェブページ』エ サイトの名称(固有名詞)を命名として使う

え 写真のネーミング(前記※3

ごく一般的には『本件写真』が使われます。
撮影者のブランディングをアピールすることもできます。
例;『プロフォトグラファー田中太郎撮影写真』
写真への思い入れを込めるのも味があって良いと思います。特に,既に作品名を付けているなら是非使いたいところです。
例;『雲の絨毯の中に浮かぶ富士山の奇跡的な1枚』

お 適法な表示サイト(前記※4

写真ごとに特定しても良いです。
オフライン書籍のタイトル・ページで特定するのも良いです。

か 相手方の表記(前記※5

相手が個人の場合は『貴殿』とします。他の箇所も同様です。

6 正式な通知文の補足説明(※6〜)

<正式な通知文の補足説明(※6〜)>

あ 侵害された権利の表記(前記※6

著作権及び著作者人格権,だけでも良いです。
サンプルのようにフルに記載すると本格的な印象となります。

い 訂正表示・謝罪広告(前記※7

いわゆる名誉回復措置請求のことです。
これらは権利として必ず認められるものではありません。
主張として盛り込むと責任追及のスタンスが示せます。
詳しくはこちら|著作権・著作者隣接権侵害に対する名誉回復措置請求(基本)

う 口座番号(前記※8

金銭(賠償金)の請求を明記した場合には,ここに送金先口座番号を書く方法もあります。

え 請求内容(前記※9

これ自体は著作者の選択・工夫があり得るところです。
『侵害者』と『顧客』と位置付ける(フレーミング)というアイデアもあり得ます。つまり,正式な写真として今後も使ってもらう(購入してもらう)などの方向性です。
詳しくはこちら|著作権・著作者隣接権の侵害の法的責任(全体)と提案内容

お 書面上の要求内容(前記※10

『貴社のご意向を回答ください』という記載もあり得ます。
ただ,この場合は『相手が請求に応じない可能性を予測している』(弱気な)印象が生じてしまいます。

か 回答期限(前記※11

このサンプルでは相手方の実質的な意思決定(具体的賠償額の提示)を要求していません。そのため,特に時間を要することはないはずです。
そこで比較的短期の設定が適していると思います。7日(1週間)程度は妥当でしょう。

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【著作権・著作者隣接権の侵害の刑事責任(法定刑・量刑・告訴状)】

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