1 不当な表示の禁止(全体)
2 優良誤認の定義
3 有利誤認の定義
4 景品表示法違反への行政上の対応(全体)
5 景品表示法違反に対する措置命令
6 措置命令違反に対する罰則
7 協定・規約違反と景品表示法違反
8 適格消費者団体による差止請求

1 不当な表示の禁止(全体)

景品表示法は文字どおり,景品と表示に関する規制を規定しています。本記事では,景品表示法による『表示』の規制について説明します。景品表示法上は『不当な表示』という用語が使われています。
まずは不当な表示は3つに分類されます。

<不当な表示の禁止(全体)>

あ 優良誤認(後記※1)

品質に関する不正な表示

い 有利誤認(後記※2)

金額に関する不正な表示

う 内閣総理大臣の指定する行為

※景品表示法5条
例;『不動産のおとり広告に関する表示』の告示
詳しくはこちら|不動産のおとり広告・表示に関する景品表示法の告示

2 優良誤認の定義

『優良誤認』の定義の内容を整理します。

<優良誤認の定義(※1)>

『ア』or『イ』に該当し,かつ『ウ』に該当する表示
ア 実際のものよりも著しく優良であるという表示
イ 事実に相違する,かつ,競合サービス・商品よりも『著しく優良』である,という内容の表示
ウ 消費者の判断を妨害するおそれがある
※景品表示法5条1号

3 有利誤認の定義

『有利誤認』の定義の内容を整理します。

<有利誤認の定義(※2)>

『ア』or『イ』に該当し,かつ『ウ』に該当する表示
ア 実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示
イ 真実に反する,かつ,競合サービス・商品よりも著しく有利である,という内容の表示
ウ 消費者の判断を妨害するおそれがある
※景品表示法5条2号

4 景品表示法違反への行政上の対応(全体)

景品表示法違反の行為があった場合,これに対応するのは主に消費者庁です。調査の上『措置命令』を出す,というのが典型です。また『行政指導』にとどめる場合もあります。

<景品表示法違反への行政上の対応(全体)>

あ 監督機関

内閣総理大臣が『い・う』の措置を行う
→消費者庁長官に権限委任されている
※景品表示法33条1項

い 措置命令(後記※3)

※景品表示法7条

う 行政指導

※行政手続法2条6号

5 景品表示法違反に対する措置命令

措置命令の内容をまとめます。

<景品表示法違反に対する措置命令(※3)>

あ 対象行為

景品表示法の景品・表示の規制に違反する行為
業界団体による規定が解釈基準となることもある(後記※4)

い 措置命令の内容

ア 違反行為の差止め
イ 次の事項の命令
・違反行為の再発防止に必要な事項
・訂正広告
・その他必要な事項
※景品表示法7条

6 措置命令違反に対する罰則

消費者庁による措置命令の後は,違反者が違反行為を解消するのが通常です。しかし,違反者がこれに従わない場合,ペナルティが用意されています。

<措置命令違反に対する罰則>

あ 対象行為

措置命令に違反した

い 罰則

法定刑=懲役2年以下or罰金300万円以下
併科あり
※景品表示法36条

う 両罰規定

法人の代表者や従業員が業務に関して違反行為をした場合
→法人も次の罰金刑の対象となる
法定刑=罰金3億円以下
※景品表示法38条1項1号

このペナルティは刑事罰なので,実際には,警察・検察が捜査し,その後起訴して刑事裁判が行なわれる,というフローになります。
詳しくはこちら|刑事弁護の手続の流れ

7 協定・規約違反と景品表示法違反

景品表示法とは別に,業界団体が実質的に同一内容のルールを設定することもあります。当然,自主ルールの対象者はこれに加入する事業者のみです。
この点,自主ルールとは言っても行政庁のチェックを経た公的性格の強いものが多いです。結局,消費者庁が景品表示法を運用する際の解釈基準となることもあるのです。
このような自主ルールと景品表示法の運用の関係性をまとめます。

<協定・規約違反と景品表示法違反(※4)>

あ 原則

事業者団体が自主規制(ルール)を締結・設定することがある
例;協定・規約など
※景品表示法31条1項
協定・規約違反は『景品表示法違反』そのものではない
→措置命令などの対象ではない

い 現実面

『協定・規約違反』行為について
→現実的には『優良誤認・有利誤認』に該当する可能性が高い
→該当する場合は,景品表示法違反として扱われる
詳しくはこちら|不動産の公正競争規約(表示規制と景品規約)(全体)

8 適格消費者団体による差止請求

景品表示法違反への対応を行うのは行政庁だけではありません。個々の取引の当事者でもない第三者が『差止請求』を行う制度があります。

<適格消費者団体による差止請求>

あ 制度|概要

適格消費者団体が一定の行為の『差止請求』をすることができる
訴訟外の請求・提訴ができる
解決結果・当事者名が公表される

い 対象となる行為|抜粋

ア 優良誤認表示
イ 有利誤認表示
※景品表示法30条

契約の当事者以外が訴訟・請求の当事者となるというのは非常に特殊です。『日本版クラスアクション』とも呼ばれます。
この差止請求については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|消費者契約法|差止請求|適格消費者団体・公表・提訴前フロー