1 役員→会社に対する責任|役員の種類・責任発生要件
2 役員→第三者に対する責任|被害者からの直接請求が可能
3 複数の役員→会社・第三者に対する責任|連帯債務
4 株価下落×株主からの損害賠償請求|原則
5 株価下落×株主からの損害賠償請求|例外
6 コンプライアンス体制構築不備×取締役の責任

1 役員→会社に対する責任|役員の種類・責任発生要件

会社の組織・構成は会社法に細かい規定があります。
『役員』は組織の上で重要な構成員です。
『役員』は権限が大きく,これに応じて責任も大きいです。
役員の責任の基本事項をまとめます。
原則的なものは『会社に対して負う』責任です。

<役員→会社に対する責任>

あ 対象となる役員

ア 取締役
イ 会計参与
ウ 監査役
エ 執行役
オ 会計監査人

い 責任発生の要件

ア 役員の任務懈怠
イ 会社に損害が生じた
ウ 『ア』と『イ』に相当因果関係がある

う 責任の内容

役員個人が会社に対して損害賠償義務を負う
※会社法423条1項

2 役員→第三者に対する責任|被害者からの直接請求が可能

役員個人が責任を負うのは『会社』に対して,だけではありません。
『外部の被害者=第三者』に対して責任を負うこともあります。
これについてまとめます。

<役員→第三者に対する責任>

あ 対象となる役員

『会社に対する責任』と同様

い 責任発生の要件

ア 役員が職務を行うについて悪意or重過失があった
イ 第三者に損害が生じた
ウ 『ア』と『イ』に相当因果関係がある

う 責任の内容

役員個人が『第三者=被害者』に対して損害賠償義務を負う
※会社法429条1項

3 複数の役員→会社・第三者に対する責任|連帯債務

役員は人数が複数,ということが多いです。
役員の責任が『複数人』に生じた場合の関係が規定されています。

<複数の役員→会社・第三者に対する責任>

複数の役員が責任を負う場合
→連帯責任となる
※会社法430条

4 株価下落×株主からの損害賠償請求|原則

会社の不正・違法行為が社会的に批判されることもあります。
この場合,株価下落につながり,株主が困ることになりがちです。
これに関する法的な責任をまとめます。

<株価下落×株主からの損害賠償請求|原則>

あ 発想

『株価下落』は株主が受けた『間接損害』である
株主から取締役個人に対する『間接損害』の賠償請求をしたい

い 基本的解釈

間接損害の直接請求は認められない
ただし特殊事情があれば例外的に認められる(後記)

う 理由

・取締役は『会社に対して』賠償義務を負う
※会社法423条1項
・これにより『株価への影響』が解消される
・『株主への責任』を認めると『責任が重複=ダブルカウント』となる
※東京高裁平成17年1月18日
※東京地裁平成8年6月20日

これについては『例外』も想定されています。
例外については次に説明します。

5 株価下落×株主からの損害賠償請求|例外

『株価下落』についての取締役の責任の『例外』をまとめます。

<株価下落×株主からの損害賠償請求|例外>

あ 例外的解釈

次のような特殊事情がある場合
→株主から取締役への『間接損害の賠償請求』が認められる

い 特殊事情|例

次のいずれにも該当する場合
ア 非公開会社
イ 違法行為をした取締役と支配株主が同一or一体である
※会社法429条1項
※民法709条
※東京高裁平成17年1月18日
※東京地裁平成8年6月20日

6 コンプライアンス体制構築不備×取締役の責任

一般的に,企業の不祥事・不正行為が生じた場合,原因・責任が問題となります。
通常『特定の担当者』だけに原因があるわけではありません。
『コンプライアンス体制構築の不備』が原因と言えます。
コンプライアンス体制の構築・維持は取締役会が権限と責任を持っています。
結局,不祥事の責任が『取締役個人』に生じることもあります。
また,上場企業では『取引所のルールとの抵触』も生じます。
これらについては別記事で説明しています。
(別記事『コンプライアンス体制』;リンクは末尾に表示)