1 相当と認める額の判断基準
2 相当と認める額の判断の実例
3 相当と認める額の解釈と法改正

1 相当と認める額の判断基準

賃料増減額請求の際は,最終的に賃料の金額が確定するまでの間に暫定的な支払いが行われます。
詳しくはこちら|賃料増減額の紛争中の暫定的な賃料支払(基本・誤解による解除事例)
本記事では,この暫定的な賃料支払の金額について説明します。
法律上は『相当と認める額』と規定されています。最高裁がこの解釈としての判断基準を示しています。

<相当と認める額の判断基準(※1)>

あ 判断基準

『い』の両方に該当する場合
→『相当と認める額』といえる
→賃料債務の債務不履行に該当しない
※借地法12条2項,借地借家法11条2項

い 判断要素

ア 従前賃料額を下回るものではない
イ 賃借人が主観的に相当と認める額である

う 否定される例

賃借人が対象土地の公租公課の額を知っている
内容=固定資産税など
賃借人の支払or供託額がこれを下回っている
→『相当と認める額』として否定される可能性がある
※最高裁平成5年2月18日;借地法について

2 相当と認める額の判断の実例

前記の最高裁判例は,具体的な事案についての判断結果も示しています。
実務での判断において,参考となります。

<相当と認める額の判断の実例>

あ 増額請求

賃貸人が賃料増額請求の意思表示をした

い 暫定支払金額の比率

『ア』が『イ』の約5.3分の1〜3.6分の1であった
ア 賃借人の供託賃料額
イ 後日賃料訴訟で確認された賃料額

う 賃借人の認識

賃借人は次の事項を知っていた
認識内容=供託賃料額が隣地の賃料額に比べはるかに低額である

え 裁判所の判断

前記※1の判断基準を用いる
→『相当と認める額』に該当する
→賃料債務の債務不履行に該当しない
※借地法12条2項,借地借家法11条2項
※最高裁平成5年2月18日;借地法について

3 相当と認める額の解釈と法改正

ところで,相当と認める額の解釈は過去の借地法でも現在の借地借家法でも規定として存在します。
古くから存続する借地については,旧借地法が適用されます。
相当と認める額の解釈としては一般的に,この2つの法律で違いはないとして扱われています。

<相当と認める額の解釈と法改正>

あ 法改正前後の対応関係

借地借家法11条2項の『相当と認める額』
→借地法12条2項の『相当と認める額』に相当する

い 実質的同一性

借地法の解釈は借地借家法でも参考になる
※幾代通ほか『新版 注釈民法(15)債権(6)増補版』有斐閣1996年p866