1 動物・ペット×悪臭|法的責任・全体
2 猫屋敷×悪臭|賠償責任|判例
3 猫飼育×悪臭|飼育禁止請求|判例
4 猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|事案
5 猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|裁判所の判断
6 野良猫餌付け→賠償責任を認めた|判例
7 犬の糞尿→汚損・悪臭|賠償責任|判例

1 動物・ペット×悪臭|法的責任・全体

本記事では動物・ペットの悪臭についての責任を認めた判例を紹介します。
民事的責任の判断では,悪臭防止法の規制も関係しています。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|悪臭|基本|差止・損害賠償請求・受忍限度論|悪臭防止法・規制基準
また,ペット以外の悪臭に関する判例も別に説明しています。
詳しくはこちら|悪臭|判例|焼き鳥店・産業廃棄物焼却・ゴミ集積場・賃貸ビル

2 猫屋敷×悪臭|賠償責任|判例

猫ファンは多く,家族の一員として一緒に住む=飼育する方は多いです。
その程度によっては近隣への迷惑につながります。
猫が多いことにより『悪臭』の被害が生じたケースです。

<猫屋敷×悪臭|賠償責任|判例>

あ 事案

Aが複数の猫を飼育していた
猫の糞尿などにより悪臭が生じた
悪臭が隣地居住者Bに及んだ

い 裁判所の判断|評価

Aは,悪臭を軽減・消滅させるような対策を取っていない
悪臭は公法上の基準を超えている

う 裁判所の判断|結論

受忍限度を超えている
→差止請求・損害賠償請求を認めた

え 判決|具体的内容

ア 差止請求
臭気指数10を超える悪臭を発生させてはならない
イ 損害額
被害者3名合計205万円
※東京地裁平成23年7月29日

前述の『臭気測定結果』『規制基準』が重視されています。

3 猫飼育×悪臭|飼育禁止請求|判例

猫の悪臭により『飼育禁止請求』が認められた判例です。

<猫飼育×悪臭|飼育禁止請求|判例>

あ 事案

マンションの居住者が室内で複数の猫を飼育していた
常時7〜8匹は滞在していた
猫の糞尿の臭気が室外に放出されていた

い マンション管理組合の請求内容

ア 主張概要
区分所有者の共同の利益に反する
イ 請求内容
・犬・猫の動物の飼育禁止
・退去
・糞尿の除去
・立ち入りの受忍
・不法行為による損害賠償請求

う 裁判所の判断

次の請求を認めた
ア 飼育禁止
イ 糞尿の除去
ウ 臭気予防のための措置
※東京地裁平成19年10月9日

4 猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|事案

猫餌付けによる悪臭が問題となった判例です。
まずは事案をまとめます。

<猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|事案>

あ 場所

東京都三鷹市
庭付き2階建て
テラスハウス型集合住宅

い 餌付け・飼育

プロ棋士元名人Knml
野良猫に継続的に餌を与えた
猫グループは最大18匹に至った
訴訟係属時点では室内1匹・屋外4匹を飼育していた

う 被害

糞尿による悪臭が生じた
被害者=集合住宅内の住民17名
※東京地裁立川市部平成22年5月13日集合住宅野良猫訴訟1〜3

被告がプロ棋士であったことで有名になりました。

5 猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|裁判所の判断

上記事例について,裁判所の判断をまとめます。

<猫餌付け×悪臭|管理組合規定|判例|裁判所の判断>

あ 管理組合規定との抵触

動物飼育禁止条項・迷惑行為禁止条項があった
→餌付け・飼育は,これらの規定に違反する
被害は受忍限度を超える

い 動物愛護法の虐待禁止との関係

動物への給餌・給水中止は禁止されている
→『野良猫』への餌やり中止はこれに該当しない
野良猫が『飼猫の程度に至った場合』にのみ適用される
※動物愛護法44条2項

う 裁判所の判断|結論

住宅敷地内での餌やり中止を命じた
損害賠償請求合計204万円を認めた
※東京地裁立川市部平成22年5月13日集合住宅野良猫訴訟1〜3

動物愛護法については別に説明しています。
詳しくはこちら|動物愛護法|動物の殺傷,苦痛を与えることは犯罪となる

6 野良猫餌付け→賠償責任を認めた|判例

野良の動物に餌付けをしてペットのような状態になることもよくあります。
このようなケースで法的責任が認められた判例を紹介します。

<野良猫餌付け|賠償責任|判例>

あ 事案

愛猫家が猫に餌を与えた=餌付け
→野良猫が集結してきた
→糞尿の悪臭が生じた

い 裁判所の判断

付近住民が損害を被った
→損害賠償請求を認めた
※神戸地裁平成15年6月11日

なお,以上の判例以外に『悪臭』の計測が用いられた判例もあります。
(別記事『悪臭・判例・基本』;リンクは末尾に表示)

7 犬の糞尿→汚損・悪臭|賠償責任|判例

ペットの被害の判例では『犬』が圧倒的多数です。
しかし『悪臭』に限定すると『猫』が高いシェアを占めます(前記)。
『犬の悪臭』という実務上ややマイナーな判例を紹介します。

<犬の糞尿→汚損・悪臭|賠償責任|判例>

犬の糞尿による汚損・悪臭が生じた
同じ建物内の居住者が被害を受けた
→慰謝料が認められた
※民法718条
※京都地裁平成3年1月24日