1 犬・噛むカテゴリ|動物占有者・賠償責任|判例
2 犬→他のペットの死亡・負傷|賠償責任
3 土佐犬→人間幼児・頭部陥没骨折|重過失傷害罪
4 犬→子供が驚く|事例
5 犬→子供が驚く|裁判所の判断
6 馬・鹿×法的責任|判例
7 犬・吠えるカテゴリ|賠償責任|判例

1 犬・噛むカテゴリ|動物占有者・賠償責任|判例

ペットに関するご相談・ご依頼をされる前に、次のことをご理解ください。よく考えてご了解いただいてから、お問い合わせくださいますようお願いします。

ペット相談・依頼の前提事項(押すと開く)

・飼い主が受けた辛く悲しい苦痛に見合うほどの慰謝料(損害賠償)を得ることができない傾向があること
・多くの資料や調査が必要となること
・法律相談の相談料は30分1万1000円、最低限2万2000円となること
・代理人交渉のご依頼の着手金は最低限33万円であり、ご依頼の時点でお支払いいただく必要があること

ペットが被害を生じて,責任が認められることがあります。
本記事では『犬が攻撃した』『吠える』というケースについての判例を紹介します。
まずは『噛む』ことによる被害について,いくつかの判例全体をまとめます。

<犬・噛むカテゴリ|動物占有者・賠償責任|判例>

あ 人間が死亡した

※最高裁昭和57年9月7日

い 人間が受傷した

※最高裁昭和37年2月1日
※東京地裁平成13年10月11日

う 他の犬が死亡した

※名古屋地裁平成18年3月15日

え 他の犬が受傷した

※東京地裁昭和44年3月1日

お 猫が死亡した

慰謝料が認められた
※東京地裁昭和36年2月1日
※大阪地裁平成21年2月12日(後記※1

2 犬→他のペットの死亡・負傷|賠償責任

犬が他のペットを攻撃するケースもあります。
愛犬や愛猫が亡くなった悲しいケースが多くあります(※1)
具体的な内容・判例は別記事で説明しています。
(別記事『ペットの死傷|判例|動物が攻撃』;リンクは末尾に表示)

3 土佐犬→人間幼児・頭部陥没骨折|重過失傷害罪

犬が噛むことによる『飼主の責任』は民事的な賠償責任だけではありません。
刑事責任が認められた判例を紹介します。

<土佐犬→人間幼児・頭部陥没骨折|重過失傷害罪>

あ 事案

土佐犬が犬舎から逃走した
3歳の幼児(ヒト)の頭部などに噛み付いた
全治約1か月の『頭部陥没骨折』などの負傷をした

い 裁判所の判断

飼い主に重過失傷害罪が成立する
※刑法211条後段
※東京高裁平成12年6月13日

4 犬→子供が驚く|事例

犬による攻撃は『噛みつく』ものに限りません。
人を驚かせた,ということが責任につながることもあります。
判例となった事例を紹介します。

<犬→子供が驚く|事例>

あ 被害者

7歳の男児が自転車に乗っていた
足がペダルに届かなかった
男児は自転車に乗り慣れていなかった

い 加害・犬

ア 犬の種類 ダックスフント系
イ 大きさ 体長40センチメートル
体高20センチメートル

う 犬が近付いた

飼主が犬の首輪の鎖を外した
犬が道路に飛び出した
男児の乗る自転車に3〜4メートル程度まで近付いた

え 男児転落

男児は驚いてバランスを崩した
男児は護岸壁から川に転落した

お 損害

男児は左目を失明した
※最高裁昭和58年4月1日

5 犬→子供が驚く|裁判所の判断

上記事例ついて,裁判所が認めた賠償責任をまとめます。

<犬→子供が驚く|裁判所の判断>

あ 基本的事項

飼主には動物の占有者の責任が認められる

い 過失相殺

被害者の過失割合は90%である

う 損害金額

ア 治療費の1割=約1万5000円イ 慰謝料=30万円ウ 合計=約31万5000円 ※最高裁昭和58年4月1日

6 馬・鹿×法的責任|判例

実務上,動物による被害は『犬』が圧倒的多数です。
ここで,犬以外による被害というレアケースも紹介します。

<馬・鹿×法的責任|判例>

あ 馬

馬が物品を毀損した
→占有者の責任が認められた
※大判大正10年12月15日

い 鹿

鹿による農業被害が生じた
→占有者の責任が認められた
※奈良地裁昭和58年3月25日

7 犬・吠えるカテゴリ|賠償責任|判例

犬の行動により飼主の責任が生じるのは『物理的攻撃』だけではありません。
『吠える』ことが騒音の被害となることもあります。

<犬・吠えるカテゴリ|賠償責任|判例>

あ 犬の鳴き声|占有者の責任

深夜・早朝を含めて長期間異常な鳴き方が継続した
→慰謝料が認められた
※民法718条
※横浜地裁昭和61年2月18日

い 犬の鳴き声|一般的不法行為

異常な犬の鳴き声
→一般的な不法行為としての慰謝料が認められた
※民法709条,710条
※東京地裁平成7年2月1日