【寄与分|効果・計算方法|算定例・扶養請求権とのコンフリクト】

1 寄与分の効果|寄与分が認められた場合の是正措置|基本
2 寄与分の効果|算定の具体例
3 寄与分と扶養請求権のコンフリクト

1 寄与分の効果|寄与分が認められた場合の是正措置|基本

被相続人への貢献行為について『寄与分』が認められることがあります。
詳しくはこちら|寄与分|該当性=要件・判断基準|基本
『寄与分』として認められた場合の効果を説明します。

<寄与分の効果>

あ 根本的考え方

寄与分の相当金額について『不公平の是正=優先的な承継』ができる

い 相続財産の算定

寄与分を控除する

う 具体的相続分

『寄与分』が認められた相続人の『相続分』
→原則的な相続分に『寄与分』を加える
※民法904条の2第1項

え 『寄与分』の金額化

『金額』・『割合』のいずれかで定める
協議・調停・審判のいずれも同様

2 寄与分の効果|算定の具体例

寄与分の効果を具体例で示します。

<事例設定>

遺産総額=1億円
相続人=A,B,C;いずれも法定相続分3分の1
Aの寄与分=1000万円
※便宜上,すべて金銭換算している

<具体的相続分>

A=1000万円+3000万円=4000万円
B,C=3000万円
↑考え方
1億円から,寄与分1000万円を真っ先にAが受け取る
残額の9000万円を法定相続分どおりに分ける

3 寄与分と扶養請求権のコンフリクト

特に療養看護については『扶養請求・義務』と衝突します。
この『区別』について整理します。

<寄与分と扶養請求権の関係>

あ 考え方|権利・義務の区別
扶養義務の範囲内/外 『寄与分』該当性 他の扶養義務者への求償
扶養義務の範囲『内』 該当しない できる
扶養義務の範囲『外』 該当する できない
い 寄与分と扶養請求のコンフリクト

寄与分の申立→却下→確定となった場合
→その後の『扶養料の請求』
→認める
理由=『寄与分の審理対象』と『扶養料(求償権)』は重複していない
※大阪高裁平成15年5月22日

弁護士法人 みずほ中央法律事務所 弁護士・司法書士 三平聡史

2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分

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