1 民事再生手続開始決定の判断枠組みと手続開始原因
2 再生手続開始の決定
3 手続開始原因(積極的要件)
4 破産手続開始原因の内容
5 民事再生手続開始の申立の却下・棄却事由(概要)

1 民事再生手続開始決定の判断枠組みと手続開始原因

民事再生手続は,裁判所による手続開始決定で始まります。
裁判所が手続開始決定をするか,棄却・却下決定をするかという判断の枠組みは決まっています。
本記事では,再生手続開始決定の枠組みと,その判断基準のうち手続開始原因について説明します。

2 再生手続開始の決定

裁判所が再生手続開始を決定する大きな基準(枠組み)は,2つの要件に分けられます。
1つは債務者の財産状態が悪化しているという積極的な要件です。
もう1つは,民事再生の手続が適しているという実質面の要件です。性格には不適切な条件がない場合に開始決定をすることになっています。そこで消極的要件とも呼ばれます。

<再生手続開始の決定>

あ 開始決定の要件の枠組み

『い・う』の両方の要件が満たされる場合
→裁判所は再生手続開始決定をする

い 手続開始原因(積極的要件)

債務者の財産状態の悪化などの要件である(民事再生法21条)

う 手続開始の条件(消極的要件)

申立を棄却・却下する4つの事由が定められている(民事再生法25条)
実質的に民事再生手続の利用が不適切である事由である
これに該当しない限り裁判所は開始決定をする
※民事再生法33条

3 手続開始原因(積極的要件)

再生手続開始決定の枠組みのうち積極的要件のことを手続開始原因とも呼びます。
その内容は,債務者について破産手続をする状況にあるか,これに近い(弁済不能)の状況にあることです。

<手続開始原因(積極的要件)>

あ 破産手続開始原因発生のおそれ

ア 条文上の規定
『破産手続開始原因(後記※1)が生じるおそれがある』
※民事再生法21条1項
イ 申立人による違い
債務者申立・債権者申立の両方に適用される

い 債務弁済不能状態

ア 条文上の規定
『債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済できない』
※民事再生法21条1項
支払不能のおそれよりは財産状態の悪化の程度が軽い
イ 申立人による違い
債務者申立にのみ適用される(債権者申立には適用されない)
※民事再生法21条2項

4 破産手続開始原因の内容

民事再生の手続開始の要件の1つに『破産手続開始原因が生じるおそれ』があります(前記)。
この『破産手続開始原因』の内容は,支払不能と債務超過です。

<破産手続開始原因の内容(※1)>

あ 支払不能

ア 対象となる者
自然人・法人の両方が対象である
イ 支払不能の意味
債務者が,支払能力を欠くために,その債務のうち弁済期にあるものにつき,一般的かつ継続的に弁済することができない状態
『支払停止』は支払不能にあるものと推定される
※破産法15条,破産法2条11号,15条2項

い 債務超過

ア 対象となる者
法人のみが対象である
イ 債務超過の意味
債務者がその債務につき,その財産をもって完済することができない状態
=債務者の負債総額が純資産の評価額を超えている状態
※破産法16条

5 民事再生手続開始の申立の却下・棄却事由(概要)

裁判所が,民事再生手続の開始決定をするには,手続開始原因(積極的要件)に加え,手続開始の条件(消極的要件)が必要です。
手続開始の条件の内容は,実質的に,民事再生の手続を利用することが適しているか・実益があるか,というものです。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|民事再生手続開始申立の棄却・却下の事由(手続開始の条件・消極的要件)