1 『労働者』の判断→大きな違いが生じる・問題となりやすい
2 3種類の『労働者』概念|労働基準法・労働保険・労働組合法
3 労働基準法・個別的労働関係法の『労働者』|一般的なもの
4 労働保険の『労働者』|労働基準法とほぼ同じ
5 労働組合法の『労働者』|労働基準法とは異なる
6 税務上の『個人事業者/給与所得者』|『労働者』の判断と同様

1 『労働者』の判断→大きな違いが生じる・問題となりやすい

他者・会社の作業・業務を個人が遂行する状況は多くの場面で生じます。
いわゆる『雇用』や『外注』などです。
法律的な扱いとしては,いろいろな形態があります。
この点,多くの法律で『労働者』という定義・概念があります。
『労働者』に当たるかどうかで,解雇規制や賃金・残業代の計算など,大きな違いが生じます。
『労働者』の定義はこのように根本的なものなのですが,判断が曖昧になりがちです。
(別記事『典型例』;リンクは末尾に表示)
ところで『労働者』は法律によって定義が違います。
次に説明します。

2 3種類の『労働者』概念|労働基準法・労働保険・労働組合法

『労働者』の定義は法律によって3つの種類に分けられます。
これについてまとめます。

<3種類の『労働者』概念>

あ 個別的労働関係法=労働基準法+派生法規

ア 労働基準法
イ 労働基準法から派生した法規
・労働保護法規
 労働安全衛生法・最低賃金法
・労働契約法
・男女雇用機会均等法
・育児介護休業法
※最高裁平成8年11月28日;横浜南労基署長(旭紙業)事件

い 労働保険

労災保険+雇用保険
労働者災害補償保険法・雇用保険法
→事実上『あ』とほぼ同一(後述)

う 労働組合法

『あ・い』よりも基準が緩和される(後述)

え 税務上の『所得』の区分

『給与所得/事業所得』の区分で類似した判断基準がある(後述)

お 『派遣業』の法規制

『労働者供給・派遣』に該当する場合は法規制の対象となる
(別記事『職業安定法・労働者派遣法』;リンクは末尾に表示)

『労働者』の定義としては『あ〜う』の3種類があるのです。
なお『あ・い』はほぼ同一のものです(後述)。
これを1つと数えると分類は『2種類』とも言えます。
これらとは別に『税務上の扱い』でも『労働者』性が関係することがあります。
『所得』の区分です。
これも労働基準法の『労働者』(『あ』)と同様です(後述)。

3 労働基準法・個別的労働関係法の『労働者』|一般的なもの

通常『労働者』と言う場合,一般的に,労働基準法の定義であることが多いです。
労働基準法の『労働者』の定義は派生的な法律でも用いられています。
これらの法律を総称して『個別的労働関係法』と呼んでいます(前記)。
労働基準法における『労働者』の定義や解釈については別記事で説明しています。
(別記事『労働基準法』;リンクは末尾に表示)

4 労働保険の『労働者』|労働基準法とほぼ同じ

労働保険において『労働者』の定義があります(前述)。
これについてまとめます。

<労働保険の『労働者』>

あ 労災保険の『労働者』

労基法と一致する
※最高裁平成8年11月28日;横浜南労基署長(旭紙業)事件
※東京高裁平成14年7月11日;新宿労基署長事件

い 雇用保険の『労働者』

定義=『適用事業に雇用される』者;雇用保険法4条1項
事実上労基法(労災保険法)の『労働者』とほぼ一致する
※菅野和夫『新・雇用社会の法 補訂版』有斐閣p35〜
※菅野和夫『労働法 第7版』弘文堂p332

政府の『社会保険』という性質上,わずかに違いはありますが,基本的に労働基準法と同様です。
詳しくはこちら|雇用主が加入する社会保険=健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険

5 労働組合法の『労働者』|労働基準法とは異なる

この点,労働組合法における『労働者』の定義・解釈は特殊です。
同じ言葉を使いますが,定義・解釈が違うのです。
これについては別記事で詳しく説明しています。
(別記事『労働者の定義・労働組合法』;リンクは末尾に表示)

6 税務上の『個人事業者/給与所得者』|『労働者』の判断と同様

税務上も『労働者』の解釈が問題となることがあります。
『所得』の扱いが『個人事業者/給与所得者』のどちらになるか,というものです。
実質的な判断基準としては『労働基準法の労働者』の定義・解釈とほぼ同じです。