【慰謝料への課税|基本的に非課税・例外もある】
1 慰謝料への課税は原則的にない
2 慰謝料の金額が極端に高いと課税されることもある
1 慰謝料への課税は原則的にない
慰謝料は,精神的な損害の填補という考え方です。
減った部分の穴埋め,という意味合いです。
トクしていない,戻っただけということになります。
『利益』という概念は該当しないのです。
そこで,所得税,贈与税などの対象とはなりません。
なお,所得税に関する法令では『保険金』について『心身に加えられた損害』を除外する規定があります。
※所得税法9条1項17号,所得税法施行令30条1項
2 慰謝料の金額が極端に高いと課税されることもある
慰謝料の金額は個別的な事情によるブレが非常に大きいです。
そもそも『慰謝料』というのは『精神的苦痛』を金銭に換算したものです。
厳密,科学的な意味での換算式はないのです。
もちろん,争いになった場合,裁判所で判断する必要が最終的にはあります。
その場合,相場が用いられます。
しかし,裁判ではなく,当事者同士の話し合いで決める場合『この算定方法を使わなくてはならない』というようなルール,基準はありません。
文字どおり気持ちの問題なのです。
そこで,仮に税務調査などがあった場合でも,慰謝料額がよほど極端に高額でなければ『贈与』とみなされる可能性は低いでしょう。
逆に,例えば『離婚』の後も元夫婦が仲良く同居しているなど『離婚自体が仮装』という場合であれば『慰謝料は仮装』と認められる可能性は高くなりましょう。
仮に『損害を賠償する』『慰謝する』という目的がない,という場合は『贈与税』の課税対象となります。
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