1 弁護士個人の特性|スキル・意欲の分布がばらけている
2 弁護士個人の特性|スキル・意欲ともに良好タイプ
3 弁護士個人の特性|スキルが良好ではないタイプ
4 弁護士個人の特性|意欲が良好ではないタイプ
5 マーケット×『財』の分類|評価の容易性
6 法律サービスの特性|信用財=購入後も評価できない
7 法律サービス×比較対象・評価方法|各種方法は機能しない
8 法律事務所×インセンティブ・システム→クオリティ維持
9 法律事務所×インセンティブ・システム|稼働条件

1 弁護士個人の特性|スキル・意欲の分布がばらけている

良いシステムがあっても,これを使う者によって案件処理に活きるかどうかが違います。
個々の弁護士個人の『スキル・意欲』で天地の差が生じます。
みずほ中央では意識的・構造的に最適化を実現しています。
まずは『弁護士個人のタイプ』をまとめてみます。

2 弁護士個人の特性|スキル・意欲ともに良好タイプ

スキル・意欲が高いという,当然と言えるタイプです。
このような弁護士にあたらないとアンラッキーです。

<弁護士個人の特性|スキル・意欲ともに良好タイプ>

あ 新人弁護士のコメント具体例

『指導を受けるのだから報酬がないのは当然ではないですか
もし自分にお金があるなら支払ってでも事件をやらせてもらいたい』

い 状況

収入のことよりも『良い弁護士になりたい』という意欲が上回っている
→提供するサービス・価値が良好となる
※『自由と正義11年11月』日本弁護士連合会p51

3 弁護士個人の特性|スキルが良好ではないタイプ

『スキル』が不足気味のタイプです。
最近の合格者の分布は,試験制度による有意な影響があるという指摘もあります。

<弁護士個人の特性|スキルが良好ではないタイプ>

あ 状況

基本的な法律知識が欠けている
習得に時間を要する

い 要因論

司法試験の配点と当該分野の習得所要時間のバランスが悪い
→特定分野を『捨てる』ことが得点効率の最適化になる
例;民法の相続分野

4 弁護士個人の特性|意欲が良好ではないタイプ

理念はともかく『業務を少なくしようとする』意欲は普遍的にあります。
勤務弁護士については構造的な意欲現象要因もあります。
直接的な収入・利害との影響が少ないというメカニズムです。
他にも指摘されている要因もあります。
みずほ中央ではこのようなメカニズムが稼働しないシステムを導入しています。

<弁護士個人の特性|意欲が良好ではないタイプ>

あ 状況

法的紛争の解決・予防に取り組むという基本的意欲自体が欠けている
お客様へのホスピタリティ提供への意欲が欠けている
『手間・所要時間を抑制する』意欲の方が上回っている

い 要因論

ア 法曹を目指す者の母集団の変化
弁護士業界全体の就業環境・条件の低下
→意欲的・パフォーマンスが高い者が法曹を目指す割合の低下
=法曹を目指す者の集合(母集団の分布)の変化
イ 競争の欠如
法律事務所入所による『競争からの離脱』→安心感

う クオリティ基準|法的解釈

『平均的な弁護士の技能水準』であれば
→違法とはならない
※大阪地裁平成13年1月26日

詳しくはこちら|弁護士の責任論|判例基準|知識レベル・費用・清算・守秘義務・去勢弁護士

5 マーケット×『財』の分類|評価の容易性

弁護士個人の特性には『良い/良くない』というばらつきがあります(前述)。
一般的にマーケットにおけるクオリティはマーケット・メカニズムによって最適化されます。
マーケット・メカニズムは『ユーザーがクオリティを評価できる』ことが前提です。
しかし,商品・サービスによっては,ユーザーによる評価が困難です。
商品・サービス=『財』の分類について整理します。

<マーケット×『財』の分類|評価の容易性>

あ 検索財

購入前にユーザーがクオリティ(価値)の評価が可能である

い 経験財

財の『消費過程』で財のクオリティを理解できる

う 信用財

購入後も本質的にユーザーが財のクオリティを理解できない

6 法律サービスの特性|信用財=購入後も評価できない

法律サービスは典型的な『信用財』です。
つまり,購入後もユーザーが評価できない,という特性があるのです。

<法律サービスの特性|信用財>

あ 具体的事例

弁護士が訴訟手続を受任し,遂行した
和解や判決で紛争が解決に至った

い ユーザーによる評価|前提=比較対象

『勝敗=客観的結果』を評価するためには
→『比較対象』が必要である

う 比較対象・評価方法

法律サービスの性質から,比較対象に乏しい
適切な評価が難しい(後記)

え 比較困難性=信用財

比較対象に乏しい
→比較がほとんどできない
→ユーザーによる評価が難しい
=『信用財』に分類される

法律サービスがなぜ比較できないのか,については次に整理します。

7 法律サービス×比較対象・評価方法|各種方法は機能しない

法律サービスは『比較対象』がほとんどないという特徴があります。
そのため『評価』が難しいのです。
これについてまとめます。

<法律サービス×比較対象・評価方法>

あ 他の弁護士による再現遂行

『他の弁護士に依頼していたらどうなったか』
→再現実験ができない

い 同一事情の案件の参照

僅かな個別事情で解釈・適用が大きく変わる
→『同一事情の案件』はない

う 『依頼』のリピート

サービスの購入も一生に『1度orこれに近い』ということが多い
→『複数の案件が遂行される状況』を見る機会がない

え インターネッツ上の評判・口コミ

例;ポータルサイト・評価サイトなど
根本的に適切な評価が難しい(上記)
→各投稿の信憑性自体が乏しい

お 法律の専門家の評価

ア 構造的なバイアス
マーケット的な利益相反
→純粋に中立・公正な評価とは言えない構造がある
イ 現行メカニズム
『対象案件が得意な弁護士を紹介する』という形で機能している

8 法律事務所×インセンティブ・システム→クオリティ維持

法律サービスは適正な『評価』が難しいです(前述)。
そこで『高クオリティのサービスを選択・購入する』ことも通常は困難です。
しかし,これを実現する仕組み・構造はあります。

<法律事務所×インセンティブ・システム|概要>

あ 上司(統括)弁護士

ア インセンティブ
長期的レピュテーションの獲得に欲求を持つ
イ 具体的行動
法律サービスのパフォーマンスが高くなることを望む
→『スキル・意欲度』が最も適した弁護士を主任に選ぶ
ウ 適切に判断できる理由
・専門的知識を持っている
・所属弁護士の態度・パフォーマンスを把握している
実際の多くの案件処理を十分に把握している
外部の者(顧客含む)は到底把握+評価ができない

い 主任弁護士

ア インセンティブ
良い案件の配点を受けることに欲求を持つ
イ 具体的行動
統括弁護士からの高い評価を受けることを望む
→高いパフォーマンスを出すように遂行・稼働する

9 法律事務所×インセンティブ・システム|稼働条件

上記の仕組み・構造があるだけでしっかり稼働するとは限りません。
運用における高効率稼働条件をまとめます。

<法律事務所×インセンティブ・システム|稼働条件>

あ 統括弁護士の高効率稼働

ア 『案件配点』の判断を実質的・積極的に行う
内容=監督・評価・配点・チーム構成の判断
イ 法律解釈・適用の最新・高度な情報を維持する
ウ リソース分配の最適化
これらの任務以外の業務は極力排除する

い 主任弁護士

統括弁護士でなくても遂行できる業務
→極力主任弁護士が遂行する

う 格言

依頼者の目はごまかせても『上司』の目はごまかせない

みずほ中央では,以上のような『仕組み・構造』をしっかりと分析・理解しています。
そして,高クオリティの価値を産む構造を構築・維持しています。