【弁護士費用のクレジットカード・電子マネー決済(日弁連見解)】

1 弁護士費用のクレジットカード・電子マネー決済(日弁連見解)
2 弁護士報酬のクレジットカード決済の問題点(日弁連)
3 クレジットカード払いが法規に抵触する具体例
4 電子マネー決済の扱い

1 弁護士費用のクレジットカード・電子マネー決済(日弁連見解)

一般的にサービスの料金の支払は,現金以外の決済方法が導入されています。
特にクレジットカードや電子マネーが普及しています。
この点,現在では,弁護士費用についてもクレジットカードや電子マネーの利用が実質的に可能となっています。
本記事では,弁護士費用の支払方法(決済手段)に関する日弁連の見解をまとめます。

2 弁護士報酬のクレジットカード決済の問題点(日弁連)

弁護士が,クレジットカード会社と加盟店契約を締結することについて,平成4年と平成21年に日弁連が公式見解を発しています。
平成4年の見解では,否定的でした。そして,平成21年の見解では,形式的に以前の見解を承継していますが,実質的には認めています。
クレジットカード利用について,相当ではない自粛を求めるとコメントしつつ,個別的な不当な行為がなければ直ちに懲戒処分の対象になるものではないとコメントしているのです。

<弁護士報酬のクレジットカード決済の問題点(日弁連)>

あ 従前の見解の再掲

平成4年2月25日付弁護士がクレジットカード会社と加盟店契約を締結することについての見解の再掲
ア 弁護士がクレジットカード会社と加盟店契約を締結することは相当でないイ 会員(弁護士)に対し自粛を求めている

い 新たな原則的扱い

弁護士がカード会社と加盟店契約を締結すること,決済を利用すること自体は直ちに懲戒処分の対象になるものではない

う 例外

個別的要因により法規に抵触することもあり得る(後記※1
→その場合は懲戒処分の対象となりうる
※『弁護士報酬等のクレジットカード決済の問題点について(要請)』日本弁護士連合会平成21年3月30日(会員向け)

3 クレジットカード払いが法規に抵触する具体例

日弁連は,クレジットカードの利用が違反となる具体例を示しています。
いずれも,違反とされても当然と思えるような異常・悪質なものだけです。
逆に,このような異常な状況がなければクレジットカードの利用は禁じられていないと考えられます。

<クレジットカード払いが法規に抵触する具体例(※1)

あ 過度の紹介

カード会社が一般的な紹介を超え,積極的に弁護士を紹介する場合
→非弁提携の禁止違反に該当する可能性がある
※弁護士法第27条
※弁護士職務基本規程第11条

い カード会社への情報提供

支払停止の抗弁などのトラブルが発生した時に
弁護士がカード会社に受任案件内容を開示した場合
→秘密保持義務違反に該当する可能性がある
※弁護士法第23条
※弁護士職務基本規程第23条

う 支払不能前提のカード利用

債務整理案件の受任時の決済で利用する時に
顧客が立替金返済をできなくなるという場合
→品位を失うべき非行に該当する可能性がある
※弁護士法第56条第1項

4 電子マネー決済の扱い

前記のクレジットカード決済に関する見解は,電子マネーにも基本的に該当します。
ただし,電子マネーについては,種類によりますが,原則的に支払停止の抗弁顧客が立替金を後払いするという制度はありません。
この点で,クレジットカードよりも実質的に問題が生じる(法規に違反する)要因が少ないです。つまり,弁護士費用の支払に電子マネーを用いることも禁じられていないといえるでしょう。

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