1 虚偽の内容を含む和解書の作成による弁護士懲戒事例
2 金銭の返済に関する和解書作成と立会
3 弁護士会の判断
4 出典・参考情報

1 虚偽の内容を含む和解書の作成による弁護士懲戒事例

弁護士が代理人として交渉する際には,依頼者に有利な結果に向けて活動します。
しかし,その方法が過剰である場合には弁護士が懲戒処分を受けることがあります。
本記事では,相手方に不利な虚偽の内容を含む和解書を作成して相手方に調印させた弁護士が懲戒処分を受けた事例を紹介します。

2 金銭の返済に関する和解書作成と立会

弁護士は,金銭の貸し借りにおける債務者から,返済に関する和解書の作成と,調印する場への立会を受任しました。
実際には返済は行われていないのに,弁護士は,返済が行われたという条項を含む和解書を作成しました。
そして,立ち会った場で,相手方に署名・押印を求めました。
相手方は虚偽の内容が含まれていることに気づかず,そのまま調印に応じてしまいました。

<金銭の返済に関する和解書作成と立会(※1)>

あ 金銭貸借と返済に関する和解

A(債権者)とB(債務者)が金銭の貸し借りをした
A・Bが金銭貸借に関して清算する内容を和解した

い 弁護士への依頼

Bは弁護士Yに,和解金の授受への立会を依頼した

う 和解書の作成と調印

A・Bの間で,まだ和解金は授受されていなかった
弁護士Yは,和解金を授受したとする虚偽の条項を含む和解書を作成した
弁護士Yは債権者に和解書への署名・押印をさせた

3 弁護士会の判断

前記の弁護士の行為について,弁護士会は戒告の懲戒処分としました。

<弁護士会の判断>

あ 非行とされた行為

虚偽の内容の和解書を作成し,相手方に署名・押印させた(前記※1)
この他に,債務に関する債権証書の紛失があった

い 懲戒処分

戒告とした
※平成17年7月15日議決
※『自由と正義1981年11月』p185

4 出典・参考情報

本記事で紹介した事案の情報ソースをまとめておきます。

<出典・参考情報>

※飯島澄雄ほか著『弁護士心得帖』レクシスネクシス・ジャパン2013年p236