1 適法だけど過激なビジネスの思考実験をしてみた
2 『納得した条件に文句を言う』は批判にならない
3 『賃金下げるほど雇用主の利益はアップ』仮説はハズレ
4 消費者の利害も考えてみた;対照実験
5 別の機会にまわす法則類

1 適法だけど過激なビジネスの思考実験をしてみた

適法だけど『ブラック』というのは本当にあるのか!?といつも疑問に思っています。
私はないと思っています。
そこで,具体的に考えてみます。

<思考実験の設定>

飲食店が時給600円でアルバイトを募集。
応募者(求職者)現れる。
採用。
働き始めた。
1日8時間,週40時間の労働。
業務は暇ではなく,忙しい。
違法行為は一切なし。

これはブラックか。
あるいは『良いこと』なのか。
繰り返しですが,適法性はクリアしている前提です。
騙したとか,残業代払わないとか,パワハラ,セクハラなどの違法行為ゼロ,です。
ちなみに,金額などは分かりやすい数字として設定しました。
詳しくはこちら|定額残業代制度の意義と有効性判断基準(テックジャパン事件判例)

2 『納得した条件に文句を言う』は批判にならない

<仮説1>

安くて忙しいのだから過酷,ひどいじゃないか!

まず,採用で『暇ですよ』とウソをついた,とかはありません。
騙したら労働条件明示義務違反になります。
違法はない前提です。
業務内容をしっかり説明して,求職者は納得した条件で応募,就職しています。
『500円の時給で働くくらいなら無職で生活保護の方が良い』という発想もあるかもしれません。
しかし,その場合は応募していないはずです。
後からそのように思うこともありましょう。
それならその時仕事を辞めることになります。
仮説1は成り立たないと思います。

3 『賃金下げるほど雇用主の利益はアップ』仮説はハズレ

<仮説2>

経営者が『本来労働者が得るべき給与分』を不当に得ている!
ズルい!不公平だ!

<仮説2の前提となる仮説>

最低賃金法などの法律の強制がないと,経営者は限りなく賃金を下げる
最低賃金法の設定を現実的な金額にアップさせるべきだ!

例えます。
『パンの値段の上限を法律で決めないと,パン屋さんは限りなく高い値段設定にする』という仮説は合っているのでしょうか。
誰もそう思いませんね。
これは需要供給バランスとか神の見えざる手による調整という問題です。
中学生で学んだアレです。

(※特定のゆとり世代では,学習指導要領から排除されて,中学校の履修対象に入っていません)

そう,重要なのはライバル代替競合です。
経営者が低い賃金で利益が異常に高いという状態は神の手で修正されます。
法律とか政府ではないんです。

(※独占,社会主義という前提だとこの『調整神』は稼働してくれません。
新規参入自由,営業の自由,を宣言するとこの『調整神』は現れるのです。)

一方,この需要供給自由市場による自動調整,は供給者間でも作用します。
利益が異常に高い業種(ドメイン)には新規参入があるはずなんです。(※1
仮に『特定の業種では異常に安い賃金でも労働力が得られる→異常に大きな利益を得られる』という場合,多くの企業が目の色を変えて突撃してきます。
同業者がたけのこのようにニョキニョキ増えてきます。
算入業者も従業者を募集します。
人員の奪い合いとなります。
より高い賃金ではないと確保できなくなります(賃金アップ)
震災後の復興需要急増→土木工事の職人の単価が激上げ,というのと同じですね。

販売価格,品質が同一である前提だと,需要の数も同一です。
品物が余るので,値段を下げないと余ってしまう状態になります。
仕方がないので値段を下げます(値段ダウン)

結局(賃金アップ),と,(値段ダウン)により,利益は大幅ダウンとなるのです。
『賃金を下げる程雇用主の利益が大きくなる』はハズレです。
『仮説2の前提となる仮説』は誤っている,ということになります。

<正しい法則>

利益が過剰に大きい

新規参入=同業者増える

販売価格ダウン+賃金アップ

利益幅が減る

なお,実際の供給者間の競争,ではもっと違う方向性が生じます。

<自由市場,自由競争の素晴らしいとこ>

他社に負けない品質を実現して『値下げしなくても顧客が選んでくれる』状態にするよう努力する

これは別の機会に論じます(※2)。

4 消費者の利害も考えてみた;対照実験

思考実験の延長で対照実験を行います。

※サイエンスでの本来的な語法ではないですが,スルーします。

とにかく,2つのパターンを比較します。
それぞれの場合に,関係者別にどのような状況になるかをまとめました。
設定の例は分かりやすい例えを盛り込みました。

<パターン1;低賃金の労働者をゲットして事業を行う>

企業が『募集,採用』して,商品の販売を行います。
求職者→多くはないが,収入を得て,生活保護を脱する
(ベーシック・インカムの場合,生活原資がさらに増える
企業→新規事業=超低価格で商品を販売することが実現する
 →原材料購入→仕入先業者の売上に→販売業者の雇用アップ
消費者→牛丼を100円で食べられる
 →特に低所得者は生活苦解消効果あり。

<パターン2;ブラックとか言われるくらいなら事業を行わない>

求職者→生活保護で生活を維持する
(ベーシック・インカムの場合はこれで生活を維持する)
企業→新規事業を行わない。
 →原材料購入しない→仕入先業者の売上げアップなし,雇用創設効果なし
消費者→安い食品が入手できない
 →メリット享受できず

対照実験の結果としても,すべての関係者にプラス効果となりました。
ただし,未解明のテーマもあります。(※3

5 別の機会にまわす法則類

次の法則は,自由市場の基本的な法則,現象です。
しかし,学生,サラリーマン,経営者を問わず,意識していない方が多いです。
いずれにしても,別の機会にまとめたいと思います。

<別の機会にまわす法則

ア 努力できる分野,業務を従事する仕事や事業にすることが大切(前記※2
イ 利益が実現できるビジネスには多くが参入する(前記※1
 ↓派生する法則
 ・アイデアだけでは価値(利益)にはならない
 ・アイデアを実行,実装して初めて価値(利益)がある
  →努力を継続することが重要
  =参入障壁維持差別化
 ・差別化できるノウハウ,スキルがあった初めてアイデアが活きる(ビジネス,利益実現に結びつく)
 ・努力不要で利益が大きい,と思ったら算入障壁を見落としている
  『うまい話しには落とし穴がある』
ウ 未解決のテーマ(前記※3
公的制度を頼る者のメンタル面