1 過失割合は類型的な基準が蓄積されている
2 損害賠償請求権の消滅時効は,民法,自賠法いずれも3年
3 自賠責の保険金と損害賠償請求権の消滅時効は別なので注意

1 過失割合は類型的な基準が蓄積されている

交通事故においては,複数の当事者にそれぞれ過失が認められることも多いです。
このような場合は,相互に過失相殺が適用されます(民法722条)。
簡単に言えば,過失割合を評価して,これを損害額にかける,ということです。

過失割合は事故が起きた状況等で判断,評価されます。
この点,毎回当事者同士で双方の過失の割合を考えていたら時間・労力がかかります。
また,同じ類型の事故でも当事者によって結論(過失割合)が違うということになりかねません。

そこで,現在では,交通事故を多くの類型に分けて基準が設けられています。
とは言っても,完全に1つの類型にぴったりと当てはまることは稀です。
個別の状況により,割合の修正があります。

様々な個別の事情による修正を経て決定されます。

過失割合の算出プロセスを考えると,事故発生直後の警察による現場検証などで,正確に事故状況を説明し,記録化(調書)してもらうことが肝要です。

2 損害賠償請求権の消滅時効は,民法,自賠法いずれも3年

交通事故の損害賠償請求権は,民法上不法行為に基づく損害賠償請求権です(民法709条)。
この消滅時効は被害,加害者を知ってから3年とされています(民法724条)。
通常は事故発生から3年と考えられます。

ところで,自賠責保険に被害者請求を行う場合の時効は,以前は2年でした。
しかし,平成22年の法改正により,民法と同じ3年に改められました(自賠法19条)。
別項目;自賠責保険は被害者が直接請求する被害者請求制度がある

治療に時間がかかる場合もありますので,早い段階から損害賠償の交渉を開始する必要があります。

3 自賠責の保険金と損害賠償請求権の消滅時効は別なので注意

事故の被害者は通常の『損害賠償請求』と『自賠責の保険金請求』のいずれをも行使できます。
もちろん金額的に重複してもらう,ということはできません。
とにかく法的には『別個の債権』なのです。
このため『消滅時効』も『別個』となります。
判例を紹介します。

<自賠責保険金請求権の時効中断×損害賠償請求権>

自賠責保険金請求の時効中断の承認申請を行った

損害賠償請求権(本体)の時効は中断されない
※東京地裁平成16年10月27日

消滅時効の完成を防ぐ場合『両方とも』中断措置を取る必要があるのです。
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条文

[民法]
(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条  第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2  被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

[自動車損害賠償保障法;自賠法]
(時効)
第十九条  第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、三年を経過したときは、時効によつて消滅する。