1 契約(合意)の拘束力と合意解除の自由
2 契約(合意)の拘束力
3 合意解除(解除契約)の自由
4 合意解除の効力が及ぶ範囲

1 契約(合意)の拘束力と合意解除の自由

私的自治の原則から,契約(合意)をすることについての自由は広く認められています。
詳しくはこちら|『法律行為』の意味・基礎(私的自治の原則との関係)・根拠
この点,いったん合意(契約)が成立した後には,当事者は契約に拘束されます。一方で,当事者全員によって契約を解消することもできます。
本記事ではこのような契約の拘束力合意解除について説明します。

2 契約(合意)の拘束力

成立した契約(合意)に基づく債権や債務は当事者を拘束します。契約は守るべきという常識的な原則です。このことを前提として,契約の遵守(履行)を実現するためのルールとして民法には債権や債務の扱いが細かく規定されているのです。
契約は当事者を拘束するということを裏返しにすると,当事者は自由に契約を解消(変更)することができないということになります。

<契約(合意)の拘束力>

あ 契約遵守の原則

契約は遵守されなければならない(pacta sunt servanda)という原則が適用される

い 解除の制限

近代的個人の自由意思に基づいて成立した契約では,契約の恣意的な消滅は認められるべきではない
※谷口知平ほか編著『新版 注釈民法(13)債権(4)補訂版』有斐閣2006年p793

3 合意解除(解除契約)の自由

契約は拘束力があり法的に保護されています(前記)。
一方で,当事者全員が合意すれば,契約を解消(変更)することは自由にできます。これも解除する契約(合意解除)として私的自治の原則(の中の法律行為)によって認められています。

<合意解除(解除契約)の自由>

あ 合意解除の意味

合意解除(解除契約)とは
新たな契約によって,契約の効力を消滅せしめるものである

い 合意解除の自由

ア 基本的理論
契約自由の原則から,合意解除(解除契約)が有効であるのは当然である
※谷口知平ほか編著『新版 注釈民法(13)債権(4)補訂版』有斐閣2006年p798
イ 判例
法定解除が認められないような契約についても,合意によって解除することが認められる
※大判大正4年11月20日(代物弁済の効力の変動)
※最高裁平成2年9月27日(遺産分割協議の合意解除)
※大判大正8年10月9日(同趣旨)

4 合意解除の効力が及ぶ範囲

合意解除が認められる実質的な理由は私的自治の原則(の中の法律行為)です(前記)。
そこで,法律行為の根本原則として,合意による拘束力は合意した当事者だけに及ぶことになります。常識的に考えても当然といえることです。

<合意解除の効力が及ぶ範囲>

契約の合意解除の効力が及ぶ範囲は当事者に限定される
※大判大正6年4月16日

本記事では,契約(合意)の拘束力合意解除について説明しました。
この理論は,単独で使うわけではなく,具体的な問題解決のためのツールとして使うものです。
具体的な問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。