1 業務停止処分の対象行為の中の『不正・著しく不当な行為』
2 不正行為・著しく不当な行為の基本的な内容
3 宅地建物取引業に関し不正・著しく不当な行為の類型化

1 業務停止処分の対象行為の中の『不正・著しく不当な行為』

宅建業者の監督処分(行政処分)の1つに業務停止処分があります。
業務停止処分の対象となる不正行為の1つに不正または著しく不当な行為があります。
詳しくはこちら|宅建業者に対する監督処分(行政処分)の基本(種類・対象行為)
ある行為が,不正行為・著しく不当な行為に該当するかどうかをハッキリ判定することは難しいです。
本記事では,不正行為・著しく不当な行為の内容について説明します。

2 不正行為・著しく不当な行為の基本的な内容

まず,基本的な解釈として,『不正』とは,違法であることを意味します。『著しく不当』とは,(違法ではないが)実質的に妥当ではないという意味です。
不正行為著しく不当な行為のいずれも,損害が発生しているかどうかは関係ありません。

<不正行為・著しく不当な行為の基本的な内容>

あ 規定内容(指示処分の対象行為)

宅地建物取引業に関する不正or著しく不当な行為
※宅建業法65条2項5号,6号,7号,8号

い 『不正な行為』の意味

宅建業法その他関係法令の規定に形式的にも実質的にも違反する行為をいう

う 『著しく不当な行為』の意味

宅建業法その他関連法令の個々の規定には違反していない
しかし,宅建業法の規制目的や個々の規定の趣旨に照らし,その行為が実質的に著しく妥当ではないとか不適当なものをいう

え 損害発生の必要性(なし)

不正・不当行為によって当事者が損害を受けたことは要件ではない
※岡本正治ほか著『改訂版 逐条解説 宅地建物取引業法』大成出版社2012年p859

3 宅地建物取引業に関し不正・著しく不当な行為の類型化

以上のように,不正行為や著しく不当な行為はとても抽象的な基準です。ある行為がこれに該当するかどうかをハッキリ判定することは難しいです。
そこで,実際の運用では,これに該当する行為を具体化しておくことにより予測可能性を高める工夫が求められます。
不正行為・著しく不当な行為に該当する行為をパターンで分類して整理します。

<宅地建物取引業に関し不正・著しく不当な行為の類型化>

あ 説明義務違反
い 履行義務違反
う 不当な内容の契約

ア 高額報酬
※宅建業法47条2号,46条2項
イ 違約金・手付金の上限(代金の2割)超過
※宅建業法38条,39条
ウ 瑕疵担保の免責特約
※宅建業法40条

え 不当な方法による契約締結行為
お 任務懈怠,業務上の義務違反
か 宅地建物取引業に関する犯罪への加担行為
き その他

例=無免許業者と提携して業務を行う
※昭和39年9月10日計発第19号建設省計画局通知