【期限付・条件付債権の差押はできる(敷金・保証金・保険金など)】

1 期限付・条件付債権の差押の可否
2 期限付債権・条件付債権の意味
3 期限付債権・条件付債権の具体例
4 期限付債権・条件付債権の差押は可能
5 期限付債権・条件付債権の差押をしてもすぐに取立はできない

1 期限付・条件付債権の差押の可否

一般的に債権を差し押さえることはできます。
詳しくはこちら|預貯金の差押|特定の趣旨・範囲|支店特定不要説|特定方式
債権の中には,期限条件が付いているものもあります。
このような債権も差し押さえることは可能です。
本記事では,期限付債権や条件付債権の差押について説明します。

2 期限付債権・条件付債権の意味

期限付債権・条件付債権の意味は文字どおりです。
最初にしっかりとまとめておきます。

<期限付債権・条件付債権の意味>

あ 期限付債権

期限の到来によって発生する債権

い 条件付債権

停止条件の成就によって発生する債権

3 期限付債権・条件付債権の具体例

期限付債権か条件付債権に該当する債権の代表的なものがいくつかあります。
実際に差押をする対象となることがよくあるものです。

<期限付債権・条件付債権の具体例>

あ 保険金請求権

将来保険事故が発生した場合の保険金請求権

い 敷金(保証金)返還請求権

賃貸借契約における敷金(保証金)返還請求権

う 手形不渡異議申立預託金返還請求権

手形の不渡を避けるために振出人が預託する金銭
※東京地方裁判所民事執行センター『民事執行の実務 債権執行編(上)第3版』きんざい2012年p142

4 期限付債権・条件付債権の差押は可能

期限や条件が付いていても,債権の基本的な性質は変わりません。
そこで差押をすることは可能です。

<期限付債権・条件付債権の差押の可否>

期限付債権・条件付債権について
一定の条件にかかる債権債務関係が存在している
→独立性・換価可能性・譲渡性がある
→差押は可能である
※東京地方裁判所民事執行センター『民事執行の実務 債権執行編(上)第3版』きんざい2012年p142
(参考)「その他の財産権」の記事の中で執行適格の3要件を説明している
詳しくはこちら|「その他の財産権」に対する強制執行(趣旨・3要件・具体的財産の該当性)

5 期限付債権・条件付債権の差押をしてもすぐに取立はできない

期限付や条件付の債権を差し押さえることはできますが,実効性は確実とはいえません。
本来債務者が受け取るべき時期と金額は変わりません。
つまり,本来返還される時期に,本来返還される金額だけを差押債権者が得る(取立できる)ということになります。

<期限付債権・条件付債権の差押の効果>

あ 第三債務者の立場

期限付債権・条件付債権の差押がなされた場合
第三債務者は,債務者に対して有していた抗弁を差押債権者に対しても主張できる

い 差押債権者の立場

差押債権者はすぐに取立をすることはできない
→期限到来・条件成就の後に取立をすることになる

う 敷金の差押の具体例

賃借人の退去時において
滞納賃料・賃借人の負う損害賠償債務が敷金から控除される
その残額が(あれば)差押債権者に支払われる

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【賃借人の犯罪や逮捕・捜索による解除特約は有効となることもある】
【敷金(保証金)の差押がされてもすぐには敷金返還・退去しなくてよい】

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