【取引相場に関する風説の流布・のみ行為の規制と仮想通貨】
1 相場操縦に関する規制と仮想通貨(総論)
仮想通貨は日本円などの金銭との交換が実際に行われています。
一種のマーケット・相場が形成されているといえます。
この点、一般的には相場を不正に操縦する行為は法律で規制されています。
本記事では、相場操縦に関する主な規制と、この規制の仮想通貨への適用について説明します。
また、いわゆる『のみ行為』の扱いについても説明します。
2 風説の流布などの金商法の規制
まずは、風説の流布などを禁止する金商法の規制の内容をまとめます。
風説の流布などの金商法の規制(※1)
あ 基本的事項
何人も『い』のいずれかの目的で『う』の行為をしてはならない
い 目的
ア 取引の目的有価証券の募集・売出し・売買その他の取引・デリバティブ取引の目的
イ 相場変動目的次のいずれかの相場の変動を図る目的
・有価証券
・オプション
・デリバティブ取引に係る金融商品・金融指標
う 行為
ア 風説を流布するイ 偽計を用いるウ 暴行or脅迫をする※金商法158条
3 風説の流布などの規制違反に対する制裁
前記の規制については、違反に対する制裁が規定されています。
風説の流布などの規制違反に対する制裁
4 風説の流布などの規制と仮想通貨
前記の規制については、仮想通貨の交換マーケットへは直接適用されないと思われます。
風説の流布などの規制と仮想通貨
あ 金商法の有価証券への該当性
仮想通貨は『有価証券』には該当しない
※内閣総理大臣『答弁書』内閣参質186第28号;平成26年3月7日
仮想通貨を『価値記録』とする公的見解(答弁書・中間報告・WG報告)
い 相場操縦の規制との関係
ア 仮想通貨そのものの取引仮想通貨と金銭の交換のマーケット(交換所)について
相場操縦に相当する行為があった場合
→金商法の規制の対象にはならない
イ デリバティブの取引仮想通貨を原資産とするデリバティブについて
相場操縦に相当する行為があった場合
→金商法の規制の対象になる可能性がある
詳しくはこちら|金商法(金融商品取引法)・金融商品販売法と仮想通貨
5 仮想通貨交換業者ののみ行為
取引のマーケットの主催者には、一般的に『のみ行為』は禁止されます。仮想通貨の交換に関して考えられる具体例と適用される法規制についてまとめます。
仮想通貨交換業者ののみ行為
あ のみ行為の具体例
仮想通貨交換業者が利用者から現金を受け入れた
仮想通貨購入の注文を受けた
しかし仮想通貨を購入しない
=日本円として預かったまま
利用者からの求めに応じて現金や仮想通貨を返還する
金額は市場レートにより算定する
い 詐欺罪
利用者は、交換業者の資力により、返還を受けられないリスクを負う
利用者は、このようなリスクが分かっていれば利用しなかった
→仮想通貨交換業者は詐欺罪に該当する可能性がある
う 賭博罪
仮想通貨交換業者はレートの変動による利益獲得と損失負担の可能性をテイクしている
→偶然の支配による財産(価値)の得喪である
→賭博罪に該当する可能性がある
詳しくはこちら|賭博罪・賭博場開張図利罪の基本(条文と解釈・具体的種目)
え 出資法違反
仮想通貨交換業者が『元金を保証する』と約束した場合
→出資法違反に該当する可能性がある
詳しくはこちら|出資法の『預り金・出資金』規制の実務的なまとめ・解釈論の目次
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


