【許可基準緩和|既存制度|伝統的建造物|フロント代替機能・緊急対応体制】

1 伝統的建造物×許可基準緩和|対象施設
2 伝統的建造物×許可基準緩和|緩和内容
3 伝統的建造物×通達
4 フロント代替機能|具体的内容
5 緊急対応体制|具体的内容
6 緩和措置・内容の流用|歴史的建築物・改正施行令

1 伝統的建造物×許可基準緩和|対象施設

旅館業法の許可基準の緩和措置は従来からいくつかの制度があります。
詳しくはこちら|許可基準緩和|既存制度|全体・イベント・グリーンツーリズムなど
本記事では『伝統的建造物』に関する緩和措置を説明します。
まずは対象となる施設についてまとめます。

<伝統的建造物×許可基準緩和|対象施設>

あ エリア

重要伝統的建造物群保存地区内に所在する
※文化財保護法144条1項

い 伝統的建造物

伝統的建造物群を構成している建築物である
※文化財保護法2条1項6号

う フロント

フロントを設置することが困難である
善良の風俗の保持を図るための措置が講じられている
例;フロントの機能を代替する設備を設置する(※1)

え 緊急対応体制

緊急時に迅速な対応ができる体制が整備されている(※2)
例;事故発生など
※旅館業法施行令2条
※旅館業法施行規則5条1項5号

以上のすべての事情に該当する場合は許可基準が緩和されます。
なお,条文上は『玄関帳場』という用語が使われています。
本記事では『フロント』という表記に統一しました。

2 伝統的建造物×許可基準緩和|緩和内容

『伝統的建造物』に関するの緩和措置の内容をまとめます。

<伝統的建造物×許可基準緩和|緩和内容>

あ 緩和内容

玄関帳場が不要となる
※旅館業法施行規則5条1項5号

い 本来の基準=適用されなくなるもの

玄関帳場orこれに類する設備が必要である
宿泊者との面接に適したものである
※旅館業法施行令1条2項4号

3 伝統的建造物×通達

上記の個々の規定はちょっと曖昧なものもあります。
これについて,通達でより詳しい解釈が示されています。
まずは通達についてまとめます。

<伝統的建造物×通達>

あ 概要

施行規則の解釈・内容を規定している

い タイトル・発信者

旅館業法施行規則の一部を改正する省令の施行について
平成24年4月1日健発0401第1号
厚生労働省健康局長通知

う 本記事での略称

『平成24年4月1日伝統的建造物通達』と呼ぶ

この通達の内容は次に説明します。

4 フロント代替機能|具体的内容

条件の1つとして『フロントに代替する機能』があります。
この内容について,通達が示す内容をまとめます。

<フロント代替機能|具体的内容(上記※1)>

あ フロント代替

伝統的建造物の緩和措置の条件の1つ
=フロントに代替する機能を有する施設
→次の『い〜お』のような具体的状態を指す

い キャメラ設置

ビデオカメラを設置する
→宿泊者の出入りの状況が確認できる

う 管理事務所での宿泊者名簿記載

管理事務所等において宿泊者との面接を行う
ここで宿泊者名簿の記載を行う
建物の管理取扱責任について署名を取る

え 現地案内

管理事務所から施設まで職員が宿泊者に付き添って案内する
職員が解錠する
宿泊者に鍵を引き渡す

お 1棟丸ごと方式

1棟丸ごと貸与する場合
→次の対応を行う
ア 建物の鍵の管理を宿泊者の責任により実施するイ 宿泊者相互間の面識を持たせる 宿泊者が複数組に及ぶ場合のみ
※平成24年4月1日伝統的建造物通達『第2 4』

5 緊急対応体制|具体的内容

緊急対応体制が条件の1つとして規定されています。
この内容について,通達が示す内容をまとめます。

<緊急対応体制|具体的内容(上記※2)>

あ 緊急対応体制

伝統的建造物の緩和措置の条件の1つ
=緊急時の迅速な対応のための体制の整備
→次の『い〜お』のような具体的状態を指す

い 通話機器

施設と管理事務所との間に通話機器が設置されている

う 駆けつけ可能

施設が管理事務所から速やかに駆けつけることができる範囲にある

え 安全管理マニュアル

宿泊者の安全を管理するためのマニュアルを整備する

お 公的関係者との連絡体制

ア 公的関係者 地方公共団体・防犯関係者・消防関係者
観光or地域振興に取り組む関係者
イ 連絡体制 『ア』の者が状況確認・情報交換を行う体制を構築する
※平成24年4月1日伝統的建造物通達『第2 5』

6 緩和措置・内容の流用|歴史的建築物・改正施行令

以上の規制緩和は『伝統的建造物』に関するものです。
一方,この緩和措置の内容の一部が他の緩和措置で流用されています。
1つが『歴史的建築物利用宿泊事業』という名称の規制緩和措置です。
(別記事『歴史的建築物』;リンクは末尾に表示)
また,平成28年4月の施行令改正においても参考として使われています。
(別記事『簡易宿所営業×フロントの要否』;リンクは末尾に表示)

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