【宅建業法の参入規制(免許制)と『宅地建物取引業(者)』の定義】

1 宅地建物取引業の参入規制
2 宅地建物取引業の定義
3 宅地建物取引業者の定義
4 『宅地』の定義・解釈|一般的な土地はすべて含まれる
5 媒介・代理|解釈論・情報提供のみ|概要
6 『業』解釈論|概要
7 『宅地建物取引業』の境界部分のビジネスモデル

1 宅地建物取引業の参入規制

不動産流通に関わる業務は宅地建物取引業法(宅建業法)で規制されています。
本記事では宅建業法の規制内容や解釈について説明します。
まずは法規制の全体・概要をまとめます。

<宅地建物取引業の参入規制>

あ 免許制

宅地建物取引業を行う場合
→免許を受ける必要がある
申請先=国土交通省or都道府県知事
※宅建業法3条1項

い 違反への罰則

無免許で宅地建物取引業を行った場合
法定刑=懲役3年以下or罰金300万円以下
併科あり
※宅建業法12条1項,79条2号

2 宅地建物取引業の定義

規制対象である『宅地建物取引業』の定義をまとめます。

<宅地建物取引業の定義(※1)

あ 基本的事項

次の『い・う』のいずれかを『業として』行うこと

い 自ら売買・交換 

『宅地or建物』の『売買・交換』

う 代理・媒介

『宅地or建物』の『売買・交換・賃貸』の『代理or媒介』
※宅建業法2条2号

え 呼称

通常は略して『宅建業』と呼ぶ

3 宅地建物取引業者の定義

宅地建物取引業を行う者を宅地建物取引業者とか宅建業者と呼びます。

<宅地建物取引業者の定義>

あ 『宅地建物取引業者』の定義

免許を受けて『宅地建物取引業』(前記※1)を営む者
※宅建業法2条3号

い 一般的呼称

通常は略して『宅建業者』と呼ぶ
俗に『仲介業者』『不動産屋さん』と呼ばれる

4 『宅地』の定義・解釈|一般的な土地はすべて含まれる

『宅地建物取引業』の定義の中で使われる『宅地』にも定義があります。
定義と解釈をまとめます。

<『宅地』の定義・解釈>

あ 条文

次のいずれかに該当する物件
ア 建物の敷地に使われる土地イ 用途地域内の公共用地以外の土地 公共用地の例=道路・公園・河川
※宅建業法2条1号

い 『宅地』の解釈|判例

建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地を指称する
現に建物の敷地に供せられている土地に限らない
地目・現況のいかんを問わない
※東京高裁昭和46年12月22日
※東京高裁昭和46年12月15日

う 『宅地』に該当しない例

次の土地を『賃貸借』の対象とするケース
ア 駐車場イ イベント会場ウ 山林エ 農地

要するに,一般的に売買の対象となる土地はほぼすべて含まれます。
『賃貸』の場合は上記のような一定の類型的な『該当しない』ものもあります。

5 媒介・代理|解釈論・情報提供のみ|概要

最近では実際に『媒介』の判断が問題になるケースが増えています。
『媒介』に該当する/しないの境界付近に位置するサービスがあるのです(後述)。
『媒介』『代理』の定義や解釈については別に説明しています。
詳しくはこちら|宅建業法|『媒介』定義・解釈論・認定の傾向|法的性質
詳しくはこちら|宅建業法|『代理』定義・内容|媒介との違い
一方『情報提供』だけでは『媒介』に該当しません。
詳しくはこちら|宅建業法|『媒介』×情報提供行為|タネ屋|競売物件紹介の特殊性
多くのサービス・プラットフォームが該当すると思います。

6 『業』解釈論|概要

『媒介』は要するに『物件紹介』が重要なサービスです。
取引を希望する者の発掘,伝達という意味です。
宅建業者でなくても,立場によっては『紹介』をする場面が出てきます。
『媒介』に該当することもあり得ます。
しかし『媒介』すべてについて,宅建免許が必要というわけではありません。
一定の規模でなければ免許不要です。
法律上は『業』の解釈論ということになります。
『業』の解釈については別に説明しています。
詳しくはこちら|宅建業法『業』解釈論|基本|業として/業を営む|判例
詳しくはこちら|『宅地建物取引業』判断|国土交通省|解釈・運用の考え方

7 『宅地建物取引業』の境界部分のビジネスモデル

現在では,レガシーなテクノロジーが大きく進歩しています。
スマホ,各種センサー,通信インフラなどは飛躍的に発展しています。
そこで新たなサービス・ビジネスモデルが構築されてきています。
これについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|不動産流通×IT活用|サービス実例|おうちダイレクトなど

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【『業』『営業』の解釈論(判例・行政見解・文献)の集約】
【民泊サービス×管理規約・契約条項との抵触|対応・予防の概要】

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