1 FC契約解消の要望|典型例
2 FC契約解消における正当事由の要否
3 FC契約解消における正当事由の判断
4 民事再生申立を解除事由とする条項の有効性
5 チェンジオブコントロール条項(COC)の有効性
6 違約金条項の有効性|上限目安はロイヤルティの30〜60か月

1 FC契約解消の要望|典型例

フランチャイズ契約において『フランチャイザー』から契約解消を希望するケースについて説明します。
まずは,類型的・典型的な状況をまとめます。

<フランチャイザーから契約解消を望む状況|典型例>

ア ロイヤルティ滞納
イ 営業施策違反
フランチャイジーが所定の営業施策に従わない
ウ 取引条件違反
指定の仕入義務違反=別の供給先から仕入れるなど
エ 信用不安
フランチャイジーに信用不安がある

2 FC契約解消における正当事由の要否

一般的には,FC契約の条項に『解除事由』が記載されています。
FC契約を解消する場合,形式としては『解除』や期間満了時の『更新拒絶』ということになります。
この点,解除・更新拒絶については『無条件』でできるとは限りません。
一定の事情がないと『無効』という判断もあるのです。
『一定の事情』については判例ではいろいろな呼び方があります(後述)。
ここでは総称として『正当事由』と呼びます。
契約解消に正当事由が必要or不要ということを判断した判例をまとめます。

<契約解消に『正当事由』は『不要』|判例>

あ 化粧品の特約店契約

約定解約権行使
『やむを得ない事由』は不要
※東京高裁平成9年7月31日;花王化粧品事件

い 持ち帰り弁当のFC契約の更新拒絶

特段の事情がない限り,契約は期間満了とともに終了する
※名古屋地裁平成元年10月31日

<契約解消に『正当事由』が『必要』|判例>

あ コンビニストアのFC契約

契約解除権の行使には『信頼関係の破壊』が必要
名古屋高裁平成14年5月23日

い 持ち帰り弁当のFC契約

更新拒絶には正当な事由が必要
理由;当事者の投資を保護し,継続的に事業を展開することに対する期待も法的に保護する→信義則
※東京高裁平成25年6月27日

当然,FC契約書の条項は多くのバリエーションがあります。
そしてFC契約の内容・形態・実態も個別的な事情によって大きく異なります。
そこで『正当事由の要否』だけでも判断がブレるのです。

3 FC契約解消における正当事由の判断

(1)FC契約解消における正当事由の判断要素

FC契約解消に『正当事由』が必要,という場合には,次に『正当事由の内容』が問題となります。
要するに,どのような事情によって契約解消を有効/無効と判断するのか,ということです。
判例が蓄積されています(後述)。
これらの判例から,『正当事由の判断要素』をまとめます。

<更新拒絶or債務不履行解除の正当事由の判断要素>

あ 更新に関する約定の内容

契約期間・自動更新規定の有無など

い 従前の更新の経緯
う 契約の目的と実情

ア フランチャイジー側の投下資本と回収度合
フランチャイザーによる填補の有無を含む
イ フランチャイジーの当該契約への依存度
ウ 両者の交渉力の格差

え 更新拒絶の経緯と理由or債務不履行の事実←これが重要

(2)FC契約解消の有効性判断事例|判例

FC契約解消の『正当事由』,つまり有効性を判断した判例のうち主なものを紹介します。

<FC契約解消を『有効』とした判例>

あ 天丼宅配事業のFC

指定業者以外から食材を購入していた
FC契約解除は有効
※東京地裁平成13年1月25日

い ファーストフード店のFC契約

ロイヤルティ不払い→5年間の滞納・未払い額1745万円に達した
契約解除は有効
※東京地裁平成18年2月21日

ここには概要のみ示しましたが,実際には多くの細かい事情が判断材料となります。

4 民事再生申立を解除事由とする条項の有効性

(1)解除事由としての『民事再生』|一般論

フランチャイジーが倒産した場合に,FC契約を終了とする条項は一般的です。
例えば,フランチャイジーが破産した場合に『契約終了』『解除』できる,というものです。
ここで『民事再生(申立)』の場合は特殊です。
破産と違って,民事再生は文字どおり『事業を継続する』ことが目的です。
FC契約が終了すると,その後の事業継続を不可能となることがあるのです。
しかし,一般的な解釈としては民事再生申立を解除事由とする条項は有効とされます。

<民事再生申立を解除事由とする条項の有効性|一般論>

FC契約解除は有効とする見解が有力
※フランチャイズ契約の法律相談 第3版 西口元 青林書院p341

(2)解除事由としての『民事再生申立』|判例

契約条項が有効だとしても,実際にフランチャイジーが民事再生を申し立てた場合に解除できるかどうかは別問題です。
個別的な事情によって『解除の有効性』が判断されます。

<解除事由における『民事再生申立』条項|判例>

あ ファイナンス・リース契約について

民事再生法の趣旨・目的に反する→無効
※最高裁平成20年12月16日

い 建築資材の売買契約

買主が民事再生申立
売主が解除
→解除は有効
※東京地裁平成23年12月21日

5 チェンジオブコントロール条項(COC)の有効性

FC契約では,株主や役員が変更した場合に契約を解除できる条項を入れることがあります。
チェンジオブコントロール条項(COC)と呼んでいます。
チェンジオブコントロール条項は,FC契約だけではなく,賃貸借契約などの継続的な契約でよく使われるものです。
これも,無条件に有効,となるわけではありません。
具体的事情によって有効性が判断されます。
詳しくはこちら|建物賃借人の違反行為×賃貸借終了|チェンジオブコントロール条項

6 違約金条項の有効性|上限目安はロイヤルティの30〜60か月

一般的に,FC契約の解消の場合の『違約金』を条項中に設定しておきます。
この『違約金』も,無条件に有効とは限りません。
『過剰に重い』ものは無効とされます。
大まかな目安と判例を紹介します。
当然,個別的事情で異なります。

<違約金の有効な範囲の目安>

ロイヤルティの30〜60か月分

<違約金条項の有効性|判例>

あ ロイヤルティの60か月分→有効

大阪地裁昭和61年10月8日

い ロイヤルティの120か月分→30か月分を超える部分は無効

東京地裁平成6年1月12日

う 加盟金の3倍(1500万円)→有効

東京地裁平成21年1月27日

<参考情報>

ビジネスロージャーナル15年3月p72〜

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