1 取引における証拠確保は裁判でも,任意の支払にもプラス効果がある
2 通常取引における証拠は書面が良い
3 通常取引の証拠確保と手間削減のバランス;基本契約書+納品書等
4 個々の受注の証拠は発注書が典型だが,受注側の自己記録も証拠になる

1 取引における証拠確保は裁判でも,任意の支払にもプラス効果がある

仮に,取引先が任意に支払いをしないときは,裁判手続を利用して強制的に回収することができます。
裁判では証拠が重要になります。
逆に,相手の立場から考えると,『証拠があれば,裁判で負ける』,『言い訳,言い逃れがしにくい』ということです。
そうすると,実際に裁判にならなくても自ら支払う意向が強くなることにつながります。
他の債務よりも優先して支払う方向性につながることはあります。

2 通常取引における証拠は書面が良い

継続的な取引の場合,慣習的に口頭での発注だけで取引をしてしまうことが多いと思います。
そのような場合,証拠がなければ,『言った,言ってない』の水掛け論になります。
契約書を取交わしておくことで,後日,重要な証拠として役立ちます。
ただ,実際の取引の実情,現場ではこのプロセスが面倒で,現実的にやっていられない,ということも多いです。

<契約書調印のプロセス(手間)>

契約書作成→内容確認→サイン,押印

3 通常取引の証拠確保と手間削減のバランス;基本契約書+納品書等

取引ごとに契約書を交わすのは非現実的,ということも多いです。
そこで,次のような方法を取ると良いでしょう。

(1)『基本契約書』の調印

個々の取引に共通する詳細な条件を書面にしたものです。
1年や2年などの一定期間を有効期間として設定します。

<基本契約書に定める事項の例>

・商品の種類
・価格
・ロット数
・納期
・支払方法
 締日と支払日
 送金先口座

(2)個々の取引については,簡易な連絡を記録化

<個々の取引に関する記録>

・発注書
 見積書に記載,押印したものを返送する,という方法もあります。
・納品書
・受領証

4 個々の受注の証拠は発注書が典型だが,受注側の自己記録も証拠になる

(1)発注側の記録が典型的

個々の受注の証明は,通常は発注したこと発注書という発想になります。
『発注書』があれば,それを毎回保存することで証拠となります。
1回分の発注書でも証拠となりえますが,取引すべての発注書があれば,日常的に発注書のみで取引されていたことが分かりやすいです。

(2)自己(内部)記録でも証拠になる

口頭での発注しかない場合でも,受注の記録を残しておけば,それも証拠となりえます。
受注記録は単なる内部書類ですが,毎回記録を残すことで推定される程度は増します。
また,発注の請書などを毎回相手に送り,控えを保管することも有用です。
こういった日々の積み重ねが主張の信憑性を高めますし,何より,誤解による未払いといった紛争の予防につながります。
紛争になったときの備えになる,というよりも,紛争を起こさない(未然に防ぐ)ということにもつながります。
多大なエネルギー・金銭コストの節約になります。
予防法務と呼ばれる所以です。