保釈はどのような場合に認められますか。
保釈金はどのくらいの金額になりますか。
起訴後には保釈の請求をすることができます。
許可されるポイントは”罪証隠滅のおそれ”です。
初犯で,平均的な事情であれば,保釈保証金は150万円~200万円程度になることが多いです。

1 起訴後には保釈により身柄が拘束される制度を利用できる
2 保釈が認められる要件は証拠隠滅,逃亡のおそれがないこと
3 保釈保証金が必要だが原則的に返還される
4 保釈保証金の相場は150万〜200万円が多い

1 起訴後には保釈により身柄が拘束される制度を利用できる

起訴後は,勾留の時間制限がほとんどなくなります。
公判(刑事裁判)が続く限り,延々と身柄拘束が続きます。

例外として,保釈という制度があります。
保釈は起訴後のみに適用されます。
起訴前は対象ではありません(刑事訴訟法207条1項ただし書)。

<保釈制度の概要>

※刑事訴訟法89条
起訴後に,一定の要件に該当した場合,保釈保証金を預けるのと引き換えに,被告人が釈放される

規定上,保釈には3種類があります。

<保釈の種類>

権利保釈(必要的保釈) 一定の要件に該当した場合に保釈請求が認められる手続
裁量保釈 裁判所の裁量により保釈を認める手続
義務的保釈 極端に身柄拘束が長期化した場合に保釈を認める手続

2 保釈が認められる要件は証拠隠滅,逃亡のおそれがないこと

(1)権利保釈の不許可事由

一般的に利用するのは権利保釈です。
権利保釈の要件を説明します。

まず,被告人や一定の関係者が裁判所に保釈請求を行います。
裁判所は,一定の不許可事由に該当するものがなければ許可する,という規定になっています。
不許可事由をまとめます。

<権利保釈の不許可事由>

※刑事訴訟法89条
ア 死刑,無期,短期1年以上の懲役・禁錮に該当する罪を犯した場合;1号
 『短期1年』とは,法定刑の下限が1年,という意味です。
イ 過去に,死刑,無期,長期10年を超える懲役・禁錮に該当する罪について有罪判決を受けたことがある場合;2号
 『長期10年』とは,法定刑の上限が10年,という意味です。
ウ 常習として,長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合;3号
エ 罪証隠滅のおそれがある場合;4号
 解釈上,逮捕や勾留の要件における罪証隠滅のおそれと同じ扱いとされています。
 <→別項目;通常逮捕の要件は3つある
オ 被害者や証人に対し,危害を加えるおそれがある場合;5号
カ 氏名または住所が明らかでない場合;6号

(2)『逃亡のおそれ』も実質的に不許可事由とされる

条文上,権利保釈の不許可事由として逃亡のおそれは含まれていません。
一方で,保釈取消事由として逃亡のおそれは含まれています(刑事訴訟法96条1項2号)。
そこで,保釈許可の段階でも逃亡のおそれは考慮されます。

形式的には『罪証隠滅のおそれ』に含めることも可能です。
刑事訴訟においては『被告人自身』も『被告人質問』という証拠の1つとされているのです。
これは民事訴訟と異なるところです。
結局,被告人の逃亡=証拠の消失=証拠隠滅,という考えにつながるのです。

(3)権利保釈では罪証隠滅のおそれが高いハードルとなりがち

現実には,すべてクリアしていると思われる場合でも,許可されないということが生じます。
大部分は罪証隠滅のおそれがあると判断されることによります。
類型的に保釈が許可されない傾向にある事情をまとめます。

<保釈が許可されない傾向のある事情>

ア ある程度重い犯罪で刑が重いと予想される場合
イ 被告人が無職の場合など

このような場合は,逃走してもおかしくないと判断されて保釈を認めない可能性が高くなります。

3 保釈保証金が必要だが原則的に返還される

保釈が許可された場合,保釈保証金を納めることにより,ようやく被告人が釈放されます。
一般的には保釈金と短縮して呼ぶこともあります。

保釈保証金は,最終的には返還されることになっています。
逆に,被告人が逃亡したりした場合,没収されます。
返還されなくなります。

保釈保証金は,被告人が逃亡を断念するためのペナルティー予告,担保(質),という趣旨なのです。

逃亡さえしなければ返還されます。
判決として,有罪,無罪,量刑内容,などには関係ありません。

4 保釈保証金の相場は150万〜200万円が多い

保釈保証金の金額は,保釈許可の審査の中で裁判所が定めます。
保釈保証金の金額は,被告人の経済状況や予想される刑の重さによって判断されます。
要するに逃亡等を断念する程度の金額,という趣旨なのです。

ごく平均的な相場は次のとおりです。

<保釈保証金の相場>

150万円~200万円程度

これは,初犯で,犯行内容お,資力が平均的な事情であることを前提とします。
あくまでも平均的なケースですので,実際には上下に大きくぶれることもあります。

条文

[刑事訴訟法]
第八十九条  保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一  被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二  被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三  被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六  被告人の氏名又は住居が分からないとき。
第九十条  裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
第九十一条  勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
○2  第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第九十六条  裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一  被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五  被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
○2  保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
○3  保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

第二百七条  前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
2〜4(略)