1 無効登記の追完の有効性・対抗力(無効主張の制限)
2 無効登記の追完の有効性(無効主張の制限)
3 無効登記の追完を判断した判例

1 無効登記の追完の有効性・対抗力(無効主張の制限)

不動産の登記の対抗力が無効であっても,事情が変わって有効に変わるケースが実際にあります。無効登記の追完と呼ばれるものです。登記の基本原則からは有効要件を欠くものとして無効となります。
詳しくはこちら|登記の対抗力の有効要件の全体像(形式的有効要件と実質的有効要件の内容)
しかし,実際には裁判所が有効となったような判断をすることもあります。
本記事では,無効登記の追完のケースにおける登記の有効性について説明します。

2 無効登記の追完の有効性(無効主張の制限)

無効登記の追完の意味は,登記はあるけれど,登記の内容どおりの実体がないという状態が最初にあって,その後,権利(実体)に変動が生じて,結果的に登記どおりの実体が備わったというものです。
無効登記が追完されたケースについて,登記を有効としたような判例があります。
しかし,無効を主張する者の事情を考慮して,無効主張を制限(抹消登記請求を否定)したため,結果として登記が残ったにすぎないといえます。
当初無効であった登記がその後,登記どおりの実体が備わった場合に一律に登記が有効となるというわけではありません。

<無効登記の追完の有効性(無効主張の制限)>

あ 無効登記の追完の意味

当初は実体を欠く登記(無効)であった
その後,登記に対応する実体関係が成立した

い 登記の有効性判断の傾向

登記の有効性を認める傾向がある
※最高裁昭和41年1月13日参照(後記※1)

う 無効主張の制限

具体的な事案において正当な利益を有しない者は登記の欠缺を主張できない
その結果として(この者との関係では),有効な登記と同様の効果が与えられるにすぎない
※舟橋諄一ほか編『新版 注釈民法(6)物権(1)補訂版』有斐閣2009年p454

3 無効登記の追完を判断した判例

前記の,登記の有効性を認めたのと同じような結果となった判例の内容を説明します。
いわゆる中間省略登記がなされたケースで,最後に所有権を取得した者(C)が元の所有者(A)に対して明渡を請求したというものです。Aは反論として,登記が無効であるということを主張しました。
しかし,AとCは対抗関係にありません。そこで裁判所は,登記の対抗力の有無を判断せず,明渡請求を認めたのです。
結果として,無効である所有権登記を持つ者(C)が所有権を行使することが肯定されたというだけにすぎません。

<無効登記の追完を判断した判例(※1)>

あ 真実と登記の不一致
真実 A→B→C
登記 A→C
い 不一致についての認識

A・BはCへの移転登記申請(Bへの移転登記を省略すること)を了承していた

う 裁判所の判断

CからAに対する明渡請求を認めた

え 当事者の関係性(注意点)

対抗関係にある者の間の対立ではない
登記の効力(対抗力)の有無は関係ない
※最高裁昭和41年1月13日

本記事では,無効登記の追完があったケースでの登記の有効性について説明しました。
実際には,具体的な状況や主張・立証のやり方次第で結論は違ってきます。
実際に不正な登記に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。