1 防火地域での非堅固違反の建築と解除の効力(総論)
2 防火地域指定後の堅固建物建築による解除(無効裁判例)
3 非堅固の借地条件違反の再築と解除(無効裁判例)

1 防火地域での非堅固違反の建築と解除の効力(総論)

借地において,建物の構造を『非堅固』に限定する借地条件はとても多いです。
このような借地条件は有効ですが,違反に対する解除は認められないことも多いです。
詳しくはこちら|借地条件の有効性と違反への解除の効力
特に,防火地域の借地については,堅固建物がふさわしいです。
そこで,形式的には違反でも,堅固建物の建築については解除が認められないことが多いです。
本記事では,防火地域で,非堅固建物所有の借地条件への違反に対する解除の効力を判断した裁判例を紹介します。

2 防火地域指定後の堅固建物建築による解除(無効裁判例)

防火地域に指定されたのに,地主が堅固建物の建築を承諾しなかったケースです。
借地人が承諾がないまま堅固建物を建築してしまいました。
裁判所は,地主の解除を認めませんでした。

<防火地域指定後の堅固建物建築による解除(無効裁判例)>

あ 借地条件

非堅固建物所有目的であった

い 防火地域の指定

借地が防火地域に指定された

う 堅固建物の建築

借地人が無断で堅固建物を建築した

え 地主による解除

地主は解除を通知した

お 解除の効力の判断

解除は効力を生じない
※東京高裁昭和39年7月13日

3 非堅固の借地条件違反の再築と解除(無効裁判例)

非堅固建物に限定する借地条件があったケースです。
防火地域において,火災により建物が焼失しました。
そこで,再築する建物は非堅固建物にすることが望まれる状況でした。
地主は承諾せず,解除を主張しました。
裁判所は解除の効力を認めませんでした。

<非堅固の借地条件違反の再築と解除(無効裁判例)>

あ 借地条件

非堅固の建物の所有を目的とする

い 火災による焼失

類焼によって建物が火災により焼失した

う 堅固建物の再築

借地は防火地域にあった
付近には堅固建物が多かった
借地人が無断で堅固建物を建築した

え 地主による解除

地主は反対・異議を主張した
地主は解除を通知した

お 解除の効力の判断

借地人の用法違反は信義則に反しない
→解除は効力を生じない
※東京地裁昭和47年10月31日

か 当時の借地非訟制度(参考)

旧借地法の借地条件変更の裁判の制度の新設前であった
防火地域内借地権処理法が適用された時期であった