【共有物分割訴訟の管轄(土地管轄・事物管轄)】
1 共有物分割訴訟の土地管轄
本記事では、共有物分割訴訟の裁判所の管轄について説明します。
まず、エリアの区分、つまり土地管轄についてまとめます。
共有物分割訴訟の土地管轄
あ 基本的事項
『い・う』のいずれかを管轄する裁判所に申立ができる
い 被告の住所地
被告が複数の場合
→被告のうち1名の住所地であればよい
※大判昭和6年9月25日
※民事訴訟法4条1項
う 不動産所在地
対象が不動産である場合
→不動産所在地も管轄となる
※民事訴訟法5条12号
2 共有物分割訴訟の事物管轄
簡易裁判所と地方裁判所の区分、つまり事物管轄についてまとめます。
小規模であれあ簡易裁判所にも申立ができますが、移送される可能性が高いです。
共有物分割訴訟の事物管轄
あ 原則
地方裁判所
い 小規模
ア 簡易裁判所
訴額が140万円以下の場合
→簡易裁判所も管轄となる
→簡易裁判所と地方裁判所が競合する
=どちらにも申立ができる
※裁判所法24条1号、33条1項1号
イ 必要的移送
簡易裁判所での不動産に関する訴訟について
→必要的移送の対象となる(後記※1)
ウ 裁量移送
裁判所の裁量によって地方裁判所に移送することもある
※民事訴訟法18条
3 不動産に関する訴訟の必要的移送
不動産に関する訴訟は、被告から申立があれば、必ず簡裁から地裁に移送されます。
こうなると無駄に時間がかかるので、最初から地裁に申し立てるということもよくあります。
不動産に関する訴訟の必要的移送(※1)
あ 前提事情
簡易裁判所に不動産に関する訴訟が提起された
い 必要的移送
被告が地方裁判所への移送申立をした場合
→簡易裁判所は訴訟を地方裁判所に移送しなければならない
う 適用除外
移送の申立(い)の前において
被告が本案について弁論をした場合
→必要的移送(い)は適用しない
※民事訴訟法19条2項
4 関連テーマ
(1)民事訴訟の自然人の普通裁判籍の決定基準(民事訴訟法4条)(解釈整理ノート)
詳しくはこちら|民事訴訟の自然人の普通裁判籍の決定基準(民事訴訟法4条)(解釈整理ノート)
本記事では、共有物分割訴訟の管轄について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に共有物分割訴訟など、共有不動産に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。