1 株式の準共有における法的問題の全体像
2 準共有の株式の権利行使者の指定・議決権行使(概要)
3 準共有の株式の株主としての原告適格
4 株式の共有物分割による単位未満株式発生
5 遺言による株式の相続トラブル回避策(概要)

1 株式の準共有における法的問題の全体像

株式を複数の者で所有することがあります。これを準共有と呼びます。
詳しくはこちら|無体財産権×準共有|具体例|実用新案権・商標権×審決取消訴訟提起
株式の準共有が生じる典型例は,家業などの同族会社の株主が亡くなって,複数の相続人が承継したというケースです。
本記事では,株式の準共有における法的問題の全体像を説明します。

2 準共有の株式の権利行使者の指定・議決権行使(概要)

準共有の株式でよく生じる問題は,株主総会での議決権行使に関するものです。準共有者の間で権利行使者を決定し,また,議決権行使の内容についても決定することになります。これらについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|株式の準共有における権利行使者の指定・議決権行使

3 準共有の株式の株主としての原告適格

準共有の株式について『株主権として提訴する』状況もあります。
このような場合に誰が提訴できるかどうかが問題となります。
『原告適格』と呼ばれる問題です。
この解釈についてまとめます。

<準共有の株式の株主としての原告適格>

あ 株主として提起する訴え|例

株主が原告となって提起する訴訟がある
ア 総会決議不存在確認の訴え
イ 合併無効確認の訴え

い 株式準共有×原告適格|原則

『あ』の訴訟を提起する者=原告について
権利行使者として指定されていない準共有者について
→単独では『原告適格』を欠く
=提訴できない

う 株式準共有×原告適格|例外

『特段の事情』(後記『え』)がある場合
→準共有者単独でも原告適格を認める

え 『特段の事情』|例

権利行使者指定未了の準共有株式の議決権割合が非常に大きい
例;『全部』や『過半数』
※最高裁平成2年12月4日
※最高裁平成3年2月19日

4 株式の共有物分割による単位未満株式発生

株式の準共有は解消することが望ましいです。そこで共有物分割(請求)によって単独所有に変えることが行われます。具体的な分割の方法として,株数を準共有者の数で分けて,それぞれ単独所有(単独の株主)とする方法(現物分割)があります。ここで,単位株制度がとられている場合は,単位未満株式を生じさせることはできません。

<株式の共有物分割による単位未満株式発生>

準共有の株式の共有物分割において
単位株制度の適用がある場合
→単位未満株式を生じさせる現物分割はできない
※最高裁平成12年7月11日

5 遺言による株式の相続トラブル回避策(概要)

以上のように株式が相続で準共有になると面倒な問題が生じます。そこで,準共有となること自体を避けるために,遺言を作成しておくことが望ましいです。これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|遺言作成が特に望まれる事情

本記事では,株式の準共有における法的問題の全体像を説明しました。
実際には,個別的事情によって法的扱いや最適な対応が違ってきます。
実際に株式の準共有(株主の相続)に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。