【破産財団を構成する財産の内容(『物』・権利・事業・情報)】
1 破産財団を構成する財産の内容(『物』・権利・事業・情報)
破産手続において、管財人は破産財団(に属する財産)を管理し、売却(換価)してこれを配当に充てます。
この破産財団はどの範囲の財団が該当するのか、という問題が生じることもあります。
そこで、本記事では、破産財団になる財産の範囲や内容を説明します。
2 破産財産の基本的な条文規定
最初に、破産財団を規定する破産法の基本的な条文をまとめておきます。
条文自体は単純であり、破産財団内容については特に記述がないのです。
破産財産の基本的な条文規定
第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
※破産法34条1項
3 破産財産を構成する財産の内容
破産財団になる財産は、破産手続において売却されるもの(財産)です。
基本的に、プラスの財産はすべて破産財団に含まれます。
破産財産を構成する財産の内容
あ 金銭的価値(積極財産)
破産財団を構成するものは財産である
※破産法34条1項
→積極財産を意味する
=金銭的価値のある物及び権利である
い 消極財産
消極財産(=負債)を含まない
う 財産の種類(概要)
およそ財産的価値があり、破産債権者への配当財源となり得る財産は
すべて破産財団に含まれる
※全国倒産処理弁護士ネットワーク編『注釈破産法(上)』金融財政事情研究会2015年p256
4 破産財産に属する『物』
破産財団に含まれる財産の種類はとても広いです。まず、典型例は『物』です。要するに不動産と動産(金銭を含む)です。
破産財産に属する『物』
あ 典型的な『物』
不動産・動産(有体物)のいずれも破産財団に属する
※民法85条参照
い 共有持分
破産者の有する共有持分も破産財団に含まれる
※破産法52条
う 占有の要否(不要)
破産者の占有の有無を問わない
※全国倒産処理弁護士ネットワーク編『注釈破産法(上)』金融財政事情研究会2015年p256、257
5 破産財団に属する権利
常識的に権利も重要な資産価値を持つ財産です。実際に管財人が売却することもよくあります。典型的な破産財団に含まれる財産の1つです。
破産財団に属する権利
あ 破産財団に属する権利(基本)
法律上の一切の権利が破産財団に属する
い 破産財団に属する権利の具体例
債権、期待権、物権的請求権、知的財産権、制限物権など
う 人格権・身分上の権利の除外
人格権や身分上の権利は破産財団に含まれない
※全国倒産処理弁護士ネットワーク編『注釈破産法(上)』金融財政事情研究会2015年p257
6 破産財団に属する事実関係・情報(の集合体)
情報も、金銭的価値を持つものであれば破産財団に含まれることがあります。典型例は、営業に活きるような情報です。
破産財団に属する事実関係・情報(の集合体)
あ 事業(営業)
事業(営業)も金銭的価値を持つ
→破産財団を構成する
い 事業の典型的な内容
商号、商圏、顧客リスト、仕入先、製造上のノウハウなどの事実関係を含めた財産集合体
※全国倒産処理弁護士ネットワーク編『注釈破産法(上)』金融財政事情研究会2015年p257
7 差押可能性(差押禁止財産の除外)
以上のような解釈とは別の角度から、破産財団に含まれない財産もあります。それは法律上差押ができない財産です。破産手続による売却・換価は、法的には強制執行の1つです。そこで、一般的な差押と同じように、政策的配慮により一定範囲で差押が禁止されるルールが破産手続にも適用されるのです。
差押可能性(差押禁止財産の除外)
あ 差押可能性(基本)
破産財団に属する財産は差押可能な財産である
い 破産財団を構成しない財産の具体例
ア 差押禁止財産差押が可能でない財産のことである
イ 現金の差押禁止範囲99万円に満つるまでの現金は破産財団を構成しない
※破産法34条3項1号、2号、民事執行法131条3号、民事執行法施行令1条
※全国倒産処理弁護士ネットワーク編『注釈破産法(上)』金融財政事情研究会2015年p258
本記事では、破産財団となる財産の種類や内容を説明しました。
実際には個別的な事情や主張・立証の方法によって結論が変わってくることがあります。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


