【電話会議システム|電話で裁判に参加できる|離婚・離縁成立だけはNG】
1 遠方の裁判所では『電話会議システムによる参加』もできる
調停・審判・訴訟が、遠方の裁判所に係属した場合、不便なこともあります。
実際に出席するために、過大に時間や費用を要します。
弁護士に依頼した場合、日当や交通費の実費として当事者が負担することになりましょう。
この点、直接行かなくても出席する制度も用意されています。
『電話会議システム』というシステムです。
家事調停・審判×電話会議システム
あ 電話会議システムによる参加
電話での通話によって期日に参加する
実際に裁判所に行く必要がない
い 利用できる手続
原則として民事調停・訴訟・非訟・家事調停・審判の全体
実際に『代理人弁護士が事務所の電話にて参加する』ということがよく行われています。
以前は『民事調停・家事調停・審判』では電話会議システムの利用はできませんでした。
『訴訟のみ』だったのです。
その後、法改正により『調停・審判』でも可能となっています。
2 電話会議の基本ルール|まとめ
電話会議システムは、現在では、多くの種類の手続で利用可能となっています。
いくつかのルールをまとめて整理します。
電話会議システムの利用手続
| 手続の種類 | 条文 | リアル出席ゼロ | できない手続 |
| 民事訴訟(※1) | 民事訴訟法170条3項 | ☓ | 人証 |
| 民事調停・非訟 | 民事調停法22条、非訟事件手続法47条 | ◯ | 証拠調べ |
| 家事調停・審判 | 家事事件手続法54条、258条1項 | ◯ | 証拠調べ・離婚・離縁の調停成立 |
※1 民事訴訟の手続のうち『弁論準備手続』である(民事訴訟法168条)
細かい内容についてはこれから説明します。
3 電話会議システム|リアル出席ゼロ|民事訴訟ではNG・民事調停・家事・非訟ではOK
電話会議システムでは『電話での参加者』=『リアルでは出席しない』ということになります。
これに関し『民事訴訟』だけは『一部の当事者はリアル参加が必要』です(民事訴訟法170条3項)。
他の種類の手続については『全員が電話参加』=『リアル出席者ゼロ』も可能です。
なお、民事訴訟でも、担当裁判官の判断で『実質的にリアル出席者ゼロ』で進めることもあります。
民事訴訟における『リアル出席者ゼロ』|裏技
公式の記録(調書)上は『当事者双方欠席』にする
事実上、電話にて当事者と進行を協議する
具定例=次回期日の指定、次回期日までの主張・立証事項の指示
4 電話会議システム|民事訴訟は人証のみNG・他は証拠調べ全般NG
電話会議システムによる期日では、一定の制限があります。
制限の1つが『証拠調べ』です。
電話会議システム×証拠調べ
| 民事訴訟 | 証拠調べのうち『人証だけ』できない |
| 民事調停・非訟・家事調停・審判 | 証拠調べ(全部)ができない |
5 電話会議システム|『離婚・離縁成立』はNG・遺産分割その他和解はOK
電話会議システムの期日において『和解・調停成立』もできます。
以前は制限がありましたが、法改正で便利になったのです。
ただし、事案の特殊性から、例外的に今でも『できない』とされているものもあります。
証拠調べ×和解・調停成立
離婚・離縁の調停成立はできない
注意;『遺産分割』は調停成立可能
※家事事件手続法268条3号
『離婚・離縁』は一定の法的な身分関係が変化します。
そこで『電話を通した参加』では成立させない、というルールなのです。
一方、同じ『家事』のカテゴリでも『遺産分割』は電話会議での和解成立が可能です。
遺産分割は『身分の変動』がありません。
純粋に財産の承継方法を決めるだけ、という性格なのです。
そこで、調停成立も含めて『全てのプロセスを電話会議システムで済ます』ことが可能なのです。
実際に、1度も裁判所に出張せずに調停成立=解決実現、というケースも多くあります。
また、家事以外の一般の民事訴訟・調停は制限なく和解・調停成立が可能です。
以前は『当事者が裁判所の遠隔地にいる』という場合の和解は『受諾和解』の方式を利用していました。
この制度は今でもありますが『電話参加での和解』が可能となったあとはメッキリ減りました。
『受託和解』のサービスが『電話会議システムの和解』という新サービスでリプレイスされた、という状態です。
詳しくはこちら|書面受諾和解・調停|期日に出席せずに和解成立・電話会議システムにリプレイスされ気味
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


