1 親族間の遺言作成強要ケースと紛争化
2 親族の嫌がらせ対策としてのダミー遺言
3 遺言の撤回・変更をする時の注意点

1 親族間の遺言作成強要ケースと紛争化

実際に親族間で『遺言を書くこと』を強制するケースがよくあります。不本意な遺言を作成したために,遺言者の死後,大きな問題が生じることになります。
本記事では,遺言作成を強要された場合の問題点やトラブルを予防する方法について説明します。
まずは遺言の作成を共用される状況がトラブルを産む典型的な状況をまとめます。

<親族間の遺言作成強要ケースと紛争化>

あ 遺言の強要

親族間で遺言の作成を強要するケースがある
例;遺言を書くまで同居の親族が嫌がらせをやめない

い 紛争化

仮に不本意な内容の遺言を作成してしまった場合
→遺言者の死後,有効性について対立が生じる(『う』)
→有効と判断されてしまうリスクもある

う 法的主張の例

無効と考える相続人は次のような主張を行う
ア 錯誤・詐欺の主張
イ 自書性を否定する主張
<→詳しくはこちら★錯誤・詐欺
<→詳しくはこちら★自書性;一般

2 親族の嫌がらせ対策としてのダミー遺言

親族が遺言作成を強要するケースでは『いったん応じる・折れる』方法がよく使われます。実は,遺言は自由に撤回・変更ができるのです。撤回・変更について親族などに知らせる必要はないのです。このようなルールを活用した防御法と言えます。
対策の典型的な具体例をまとめます。

<親族の嫌がらせ対策としてのダミー遺言>

あ 背景

親族Aが遺言者に嫌がらせをしていた
遺言者はこれを何とか避けたいと思っていた

い ダミー遺言の作成

遺言者は,親族Aに有利な遺言を作成した
この遺言の原本or謄本を親族Aに預けた
→Aによる嫌がらせは収まる

う 真正な遺言の作成

直後に遺言者は,親族Aに不利(親族Bに有利)な遺言を作成した
ダミー遺言の撤回を含むものである
この遺言の原本or謄本を親族Bに預けた

この方法についての法律的な解釈・結論は,次に説明します。

3 遺言の撤回・変更をする時の注意点

遺言によって過去の遺言を撤回・変更することができます。理論は単純なのですが,有効性について相続人の間で見解が対立することもあります。そこで,遺言を作成する時には,このようなトラブルを回避するような工夫をしておくことが好ましいです。問題点や予防方法についてまとめます。

<遺言の撤回・変更をする時の注意点>

あ 前提となる理論

遺言により過去の遺言を自由に撤回できる
重複する内容の遺言は『新しい日付が有効』となる
詳しくはこちら|遺言の変更・撤回・書き換え|遺言の破棄・目的財産の破棄

い 実務的トラブルリスク

複数の遺言があり,内容が重複している場合
→無効であるという主張がなされることが想定される
『日付』の記載の不正を主張されることもあり得る
<→★自書性の判断;撤回・変更

う 無効主張・認定を抑制する予防策

2つの遺言の関係・作成経緯を明記すると良い
具体的内容=第1遺言はダミーだという旨+その理由
詳しくはこちら|遺言作成や書き換えの際の注意・将来の紛争予防の工夫