1 相続×使途不明金|相続人の1人による不正行為
2 相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|概要
3 相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|主張方法
4 相続×使途不明金|被相続人の承諾あり

1 相続×使途不明金|相続人の1人による不正行為

相続の際は『被相続人の財産の使途不明金』が問題になることが非常に多いです。
法的な扱い・対処方法について説明します。
大きく分類すると2種類になります。

<相続×使途不明金|相続人の1人による不正行為>

あ 無断での使用・引き出し
い 被相続人の承諾あり

2 相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|概要

被相続人の財産・預貯金が『無断で使用・引き出された』というケースがよくあります。
これについての法的な扱いの基本部分を整理します。

<相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|概要>

あ 前提事情

被相続人の生前中or死亡後において
相続人の1人が,被相続人名義の預貯金を無断で引き出した

い 法的な扱い|概要

相続に付随する問題である

この問題は『相続の手続に含める』ことが可能となります。
具体的な内容を次にまとめます。

3 相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|主張方法

使途不明金が相続に付随する問題とされた場合(前述)について整理します。

<相続×使途不明金|無断での使用・引き出し|主張方法>

あ 主張方法

相続に付随する『財産の消費』
→次のいずれの主張も可能である
ア 被害者=被相続人
『被相続人の財産』が侵害された
→請求権(次項目)が相続財産となる
イ 被害者=相続人自身
『相続人の相続分』が侵害された
→相続手続とは別の独立した請求権となる

い 法的請求権

『あ』における『請求権』の内容は次のいずれかである
どちらの請求権も成り立つ
ア 不当利得返還請求権
イ 不法行為に基づく損害賠償請求権
※最高裁平成16年4月20日

結局『相続財産』に含めることも含めないことも可能,ということです。
遺産分割などの相続手続の中に含めればまとめて解決できます。
この方法が一般的です。
一方で独立させると仮差押など『スピーディーな手段』が取れます。

4 相続×使途不明金|被相続人の承諾あり

被相続人の財産流出について,被相続人の承諾があったケースもあります。

<相続×使途不明金|被相続人の承諾あり>

あ 前提事情

被相続人の生前中において
相続人の1人が,被相続人の了解のもと,被相続人名義の預貯金を引き出した

い 法的な扱い

相続に付随する問題ではない
『特別受益』の問題となる
※片岡武ほか『家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』p29

この場合は『無断』という扱いとは大きく異なります。
ただし『不公平な財産移転』ということは言える可能性が高いです。
そこで『特別受益』に該当することが多いのです。