【祭祀主宰者と喪主|喪主の意味・権限・祭祀主宰者と別人を指定した事例】

1 葬儀の方式・バラエティ|相続人の間に対立が生じることがある
2 『喪主』の意味・権限|葬儀の主宰者=裁量・権限がある
3 『喪主』と『祭祀主宰者』の関係|同一とは限らない
4 喪主と祭祀主宰者が別人|事例
5 祭祀主宰者として指定された者→喪主になる|例外もある

1 葬儀の方式・バラエティ|相続人の間に対立が生じることがある

『葬儀をどのようにするのか』『宗派の選択』で深刻な対立が生じることもあります。

<葬儀のバラエティ|相続人で対立発生>

あ 宗派

『意義』『教義』が違う
→具体的な方式・儀式の全体が異なる

い 手続・プロセスの違い|例

ア 読まれるお経イ 式次第 例;通夜・告別式など

う 埋葬方法

例;火葬・土葬・散骨・水葬
ただし,水葬には法規制がある
船員法15条,防衛省訓令

これらを決定する人は『喪主』です。
次に説明します。

2 『喪主』の意味・権限|葬儀の主宰者=裁量・権限がある

『喪主』は法律解釈上でも使われる用語です。
基本的な定義・権限をまとめます。

<『喪主』の意味・権限>

あ 『喪主』の意味

葬儀の主宰者

い 喪主×権限

葬儀の宗派・手続について判断・決定する裁量がある

『喪主』を誰が行うか,については次に説明します。

3 『喪主』と『祭祀主宰者』の関係|同一とは限らない

法律上『祭祀主宰者(の指定)』という制度があります。
現実には,葬儀が終わった時に『祭祀主宰者の指定』が行われることが多いのです。
この場合『既に喪主となっている者』が『祭祀主宰者』に指定されやすいということです。

<『喪主』→『祭祀主宰者の指定』>

あ 原則

同一人が指定される

い 例外

別人が指定されることもある(後記)

4 喪主と祭祀主宰者が別人|事例

喪主以外の者が祭祀主宰者として指定された実例を紹介します。

<喪主と祭祀主宰者が別人|事例>

あ 喪主=長男

長男が葬式の喪主を務めた
被相続人とは,生前約20年間別居していた
被相続人との行き来もなかった

い 次男

長期間にわたり被相続人と同居していた
被相続人の看病や法要を行った
先祖の位牌・被相続人の遺骨を保管している

う 裁判所の判断

次男を祭祀主宰者として指定した
※大阪家裁昭和52年8月29日

5 祭祀主宰者として指定された者→喪主になる|例外もある

葬儀の完了前に『祭祀主宰者の指定』がなされることもあります。
この場合の状況をまとめます。

<『祭祀主宰者の指定』→『喪主』>

あ 一般的なケース

祭祀主宰者として指定された者が喪主となる

い 解釈論

祭祀主宰者は『葬儀の履行義務』はない
祭祀主宰者が葬儀を行わない場合
→別の者が『喪主』となる

未了の葬儀については祭祀主宰者として指定された者が喪主になるのが通常です。
しかし、喪主になる、つまり葬儀を履行する義務はないのです。
詳しくはこちら|祭祀供養物(墓地・遺骨など)の承継・祭祀主宰者の指定の基本

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