【特区民泊の認定要件とサービス形態(基本)】

1 特区民泊の認定要件(基本)
2 居室要件の内容
3 認定基準の内容(平成28年10月改正)
4 通達による付随的義務
5 自治体による付随的義務(概要)
6 特区民泊と簡易宿所との違い

1 特区民泊の認定要件(基本)

特区民泊のサービス形態は『認定の要件』として定められています。
まずは基本的事項をまとめます。

<特区民泊の認定要件(基本)>

あ 賃貸借契約

賃貸借契約・付随する契約に基づき使用させるものである

い 居室

一定の構造・設備の基準がある(後記※1

う 運営

運営に関する基準について
平成28年10月改正により追加された(後記※2

え 旅館業該当性

事業の一部が『旅館業』に該当する
※旅館業法2条1項

お 滞在期間|法律

3〜10日以上滞在の賃貸借契約である
平成28年10月改正により
最低日数が『7』から『3』に変更された
具体的な最低滞在日数は各自治体が条例で定める

か 滞在期間|条例

東京都大田区を除いて『2泊3日以上』と規定(変更)されている
大田区だけは『6泊7日以上』と規定している
詳しくはこちら|各エリアの特区民泊の制度導入経緯と運用の実績

き ゾーニング・エリア

建築基準法上『ホテル・旅館』が建築可能な用途地域が多かった
この地域が特区として指定されていたという意味である
その後『ホテル・旅館』とは異なるゾーンも対象とされている
例;第1/2種住居専用地域
※国家戦略特区法13条1項
※国家戦略特区法施行令12条

2 居室要件の内容

認定要件のうち『居室』の構造・設備が重要です。

<居室要件の内容(※1)

あ 床面積

1居室の床面積が25平方メートル以上である
ベランダを除いたすべての部分で計算する

い ロック

出入口・窓
→鍵をかけることができる

う 隔壁

居室と他の居室・廊下などとの境
→壁造りである
出入口・窓は除く

え 近代的設備

適当な次の設備を有する
設備=換気・採光・照明・防湿・排水・冷暖房

お ライフライン設備

次のア・イの設備を有する
ア 住宅要件3点セット 台所・浴室・便所
イ 洗面設備

か 基本的家具

次の設備・器具を有する
ア 寝具・テーブル・椅子・収納家具イ 調理のために必要な器具or設備ウ 清掃のために必要な器具

き 清潔な居室

使用開始時に清潔な居室を提供する

く 外国人対応

外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する
次のような具体例がある
ア 施設の使用方法に関する外国語を用いた案内イ 緊急時における外国語を用いた情報提供 ※国家戦略特区法施行令12条3〜5号

3 認定基準の内容(平成28年10月改正)

平成28年10月に,認定基準が追加されました。追加された内容は,実質的にそれまでの通達や自治体のルールと同様です。やや非公式なものが公式ルールに格上げされたということができます。

<認定基準の内容(平成28年10月改正;※2)>

あ 滞在者名簿の備え置き

施設などに滞在者名簿を備える
主な記載内容=滞在者の氏名,住所,職業

い 住民への説明

施設の周辺地域の住民に対して
特定認定の申請前の時点において
サービス開始についての適切な説明を行っている

う 苦情処理体制

施設の周辺地域の住民からの苦情・問合せについて
適切かつ迅速に処理が行われる
※国家戦略特区法施行令12条6〜8号
詳しくはこちら|特区民泊に関する平成28年10月国家戦略特区法施行令改正

え 従前の運用の承継(参考)

従前の通達や地自体のルールと同様である(後記※3,※4)

4 通達による付随的義務

特区民泊のサービス形態は『通達』でも示されています。
構造・設備以外の事項に関するルールです。

<通達による付随的義務(※3)

あ タイトル・日付

外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項について(通知)
平成27年7月31日
内閣府地方創生推進室長
厚生労働省健康局長
→本記事では『民泊通達』と呼ぶ

い 概要

認定事業者の講じるべき措置
ア 滞在者の身元を確実に確認するイ 施設の近隣の住民の不安を除去する 具体的な内容・フォーマットが示されている
外部サイト|厚生労働省|平成27年7月31日通知

なお,このルールの内容は平成28年10月に,国家戦略特区法施行令に盛り込まれました(前記※2)。

5 自治体による付随的義務(概要)

特区民泊の事業者の義務は自治体も定めています。
主なものを紹介します。

<自治体による付随的義務(概要;※4)>

近隣住民への周知義務
トラブル発生時の苦情窓口の設置
詳しくはこちら|特区民泊|近隣住民への周知義務|方法・対象者・周知事項・反対の扱い

なお,このルールの内容も平成28年10月に,国家戦略特区法施行令に盛り込まれました(前記※2)。

6 特区民泊と簡易宿所との違い

特区民泊では,民泊の他の方式と違うところがあります。
『フロント設置義務』がないのです。

<特区民泊と簡易宿所との違い>

あ 特区民泊×フロント設置

『フロント設置』は不要である

い 簡易宿所との違い

平成28年4月に簡易宿所営業の許可要件が緩和された
しかしフロントの代替機能などが要求されている
詳しくはこちら|簡易宿所営業×フロントの要否|基本|衛生管理要領改正

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