1 財産的損害×慰謝料の関係|原則
2 財産的損害×慰謝料の関係|例外|判例
3 財産的損害×慰謝料の関係|例外|学説
4 交通事故|財産的損害+慰謝料50万円|判例
5 交通事故|財産的損害+慰謝料20万円|判例
6 ペット死亡・負傷|損害賠償|財産的損害×慰謝料

1 財産的損害×慰謝料の関係|原則

精神的苦痛についての賠償のことを『慰謝料』と呼びます。
慰謝料は,純粋な『財産的損害』とは別のものです。
本記事では『財産的損害』と『慰謝料』との関係について説明します。
まずは原則的な関係性の解釈論をまとめます。

<財産的損害×慰謝料の関係|原則>

財産的損害が賠償された場合
→精神的損害も一応回復される
=慰謝料が別に発生することはない
※最高裁昭和42年4月27日

『財産的損害と慰謝料』の『両方とも生じる』ことはない,という原則です。
これについては例外もあります。

2 財産的損害×慰謝料の関係|例外|判例

財産的損害と慰謝料の『両方が生じる』という例外もあります。
これについてまとめます。

<財産的損害×慰謝料の関係|例外|判例>

あ 例外|要件

次のような特別の事情がある

い 特別の事情|内容

財産価値以外に考慮に価する主観的精神的価値が認められる

う 効果

財産的損害とは別に慰謝料が発生する
※最高裁昭和42年4月27日

3 財産的損害×慰謝料の関係|例外|学説

上記の例外的解釈は最高裁判例によるものです。
これとは別に学説としての解釈論もあります。

<財産的損害×慰謝料の関係|例外|学説>

あ 例外|要件|はみ出し

財産的損害の外にはみ出した精神的損害がある場合
→特別事情による損害とする

い 例外|要件|予見可能性

当事者に予見可能性があった

う 効果

財産的損害とは別に慰謝料が発生する
※加藤一郎『不法行為 増補版』有斐閣p230

判例との違いは『予見可能性が必要』というところです。
現実的・実質的な違いはあまりないと思われます。
例外的な解釈がなされた実例を次に紹介します。

4 交通事故|財産的損害+慰謝料50万円|判例

財産的損害と慰謝料の『両方が認められた』判例を紹介します。

<交通事故|財産的損害+慰謝料50万円|判例>

あ 事案

深夜,トラックが民家に飛び込んだ

い 裁判所の判断

物的的損害のほかに慰謝料50万円を認めた
※岡山地裁平成8年9月19日

5 交通事故|財産的損害+慰謝料20万円|判例

財産的損害と慰謝料の両方が認められた,別の判例です。

<交通事故|財産的損害+慰謝料20万円|判例>

あ 事案

乗用車が自宅玄関を損壊した

い 裁判所の判断

財産的損害のほかに慰謝料20万円を認めた
※大阪地裁平成15年7月30日

6 ペット死亡・負傷|損害賠償|財産的損害×慰謝料

ペットの死亡については『気持ちへのダメージ』が非常に大きいです。
一方,理論的には『ペットの市場価値』という概念もあります。
つまり『財産的損害』が算定できてしまうのです。
そこで『財産的損害』と『精神的ダメージ』の関係が問題になりやすいです。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|ペット死亡・負傷|損害賠償|財産的損害×慰謝料|理論・基準