1 不動産の所有者×外国在住|調査ハードル
2 住民票・戸籍×外国在住|調査ハードル
3 外国在住者×ソーシャル調査
4 外国在住者×外務省の所在調査
5 外国籍取得×日本の戸籍・住民票|基本
6 婚姻による外国籍取得×法務局保管の婚姻届
7 国土交通省ガイドライン|土地所有者特定

1 不動産の所有者×外国在住|調査ハードル

当事者の調査において『対象者が日本に在住しない』こともあります。
この場合,通常の調査では足りません。
本記事では『外国在住者の所在調査』について説明します。
まずは『不動産の所有者』が外国に在住するケースをまとめます。

<不動産の所有者×外国在住|調査ハードル>

あ 前提事情|基本

所有権登記名義人orその相続人が外国に在住している
次の2つのパターンがある

い 記録上外国

登記記録に記録された住所が外国である

う 実体上外国

登記記録上は日本国内の住所となっている
住民票・戸籍の記録上,外国に転出している
→実際には外国に転出・在住している

2 住民票・戸籍×外国在住|調査ハードル

住民票や戸籍の調査において『外国在住』が判明することもあります。
この場合の調査のハードルが高くなります。

<住民票・戸籍×外国在住|調査ハードル>

あ 国だけしか分からない

外国の住所の記載が求められていない
→国or地域の名称までの記載にとどまることもある

い 保存期間切れ

住民票の除票・戸籍の附票の除票の保存期間
→消除された日から5年間
→保存期間満了後は記録自体がないことがある
※住民基本台帳法施行令34条1項
詳しくはこちら|公的情報の保存期間|戸籍・住民票・登記・固定資産評価証明書・裁判記録・税務申告書

3 外国在住者×ソーシャル調査

外国に在住している者の特定は日本の公的記録では不足します(前述)。
そこで,公的記録以外の方法で調査する必要が出てきます。

<外国在住者×ソーシャル調査>

あ 親族・知人

親族や知人に対する聞き取りを行う

い 日本人会・県人会

対象の国・地域にこのような団体がある場合
→都道府県の国際課を通じて照会する

4 外国在住者×外務省の所在調査

外国居住者の住所調査について公的サービスもあります。

<外国在住者×外務省の所在調査>

あ 調査機関・部署

外務省
邦人保護課援護・領事サービスなどを行う部署

い 調査対象|制限

ア 国籍
対象者の国籍が日本国籍のままである
イ 生存
対象者の生存が見込まれる
ウ 親等制限
調査する者が対象者と3親等以内の親族である
裁判所・弁護士会その他官公署も利用できる
外部サイト|外務省|所在調査について

『近い親族』を調査する場合に利用するための制度です。
典型例は,相続・離婚の手続の準備という場面です。

5 外国籍取得×日本の戸籍・住民票|基本

以上の調査方法は,対象者が『日本国籍』であることが前提でした。
この点『外国籍』に変わった方の調査が必要となることもあります。
この場合,は制度の都合から調査のハードルが上がってしまいます。

<外国籍取得×日本の戸籍・住民票|基本>

外国国籍を取得した場合
→日本の戸籍・住民票の『住所』記録がなくなる

戸籍・住民票の記録自体が『古いもの』しかない状態となるのです。
一方,ヒントはまだ残っている可能性があります。

6 婚姻による外国籍取得×法務局保管の婚姻届

日本人が外国籍を取得する主要なプロセスは『婚姻』です。
この場合,住所の調査の手がかりがあります。

<婚姻による外国籍取得×法務局保管の婚姻届>

あ 『婚姻届』の保管

婚姻の際に外国籍を取得した場合
→『婚姻届』が日本の法務局に保管される
例;外国の領事館に提出された『婚姻届』が日本の法務局に送付される

い 『婚姻届』への『住所』記載

『婚姻届』に『当時の住所』が記載されている場合
→住所探しの手がかりになる
※『月報司法書士』2012年9月日本司法書士会連合会p84〜

7 国土交通省ガイドライン|土地所有者特定

不動産の所有者の調査・特定について公的なガイドラインがあります。
国交省が公表しているものです。
この中に『外国在住者の調査・特定』も含まれています。
実際の調査においては役立つ情報です。

<国土交通省ガイドライン|土地所有者特定>

あ タイトル

所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン
第1版

い 公表時期

平成28年3月

う 作成者

所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会
外部サイト|国土交通省ガイドライン|土地所有者特定
↑この中のp79〜に『外国在住』関連が記載されている